All Aboutニュース編集部では、子育て経験者160人を対象に「子どもの性教育」に関するアンケート調査を実施(※)しました。この記事では、大人たちが抱える性教育への率直な思いや、性教育を「した」家庭の実施例を、アンケートの結果と併せてご紹介します。
親から子どもへの性教育は「必要」だが……
まず、家庭での性教育の実施状況について聞いたところ、「した」または「する予定」の人が6割を超え、明確に「しない」と回答した人は約1割という結果になりました。子どもへの性教育の必要性を感じている人が多数派であることが分かります。
一方で、性教育への考えを尋ねたところ、「必要だと思うが方法やタイミングが分からない」という声が多数寄せられました。
性教育を「実施した」人は、何をどう教えた?
性教育を「した」と回答した人は、具体的にどのような内容で行ったのでしょうか。
「幼稚園の頃から、プライベートパーツに関する絵本を何度も読み聞かせした」
「小学5年生になり、女の子なので生理になったタイミングで、なぜ子どもが生まれるのか、性行為というものはどういったものなのかを説明しました。真剣に話を聞いてくれ、理解してくれたと感じています」
「子どもが10歳頃、赤ちゃんはどうやってできるのかを聞かれたので妊娠の仕組みを話しました。当時の反応は薄かったものの、その後の学校での性教育の予習になったようです」
「子どもが小学生のとき、自身の体の変化や異性に対する心の揺らぎについて、自分自身の体を大事にすること、性行為についての考えも話しました。将来大事に思う人と巡り合うことがあった時どう考えるのか、子ども自身でも考えるように話し合いをしました」
性教育をする時期は「小中学生」が多数……理由は?
性教育を実施する時期についての質問では、「小中学生」と回答した人が多数となりました。
その理由としては、小学校高学年頃になると、さまざまなことに関しての理解力が付いてくるからというもので、
「性行為について変な先入観を持ってしまう前に話したい」
「性を認識してからでは、照れたり嫌がったりして話を聞かないと思うから小学生のうちに」
「第二次性徴が起こる頃に性のことを知っておいてほしい」
「自分の体やクラスメイトの体が変わってくる時期なので」
「一人で行動することが増え、性犯罪に巻き込まれる可能性が高くなるから」
といった意見がありました。一方で高校生頃が適切という考えもあり、
「コンドームをしっかりつけて性交渉を行うこと、性病は怖いことを教えました。特に恥ずかしがったりするようなことはありませんでした」
と、高校生の子どもに性教育を実施したという人も。理由としては、
「実際にパートナーができたり性行為をする可能性が高くなる時期の方が良い」
というものでした。性教育を実施するのに適切な時期は、教える目的によって変わってくるのかもしれません。
家庭で性教育を受けた経験がない人も……
アンケートで顕著だったのは、回答者自身が、親から性教育を受けた経験がほとんどないということ。
自分自身が親から性教育を受けていないのであれば、子どもへの性教育の仕方について悩んでしまうのも当然といえるかもしれません。
「女親が男の子に教えるのも難しい」
「具体的な妊娠の経過を親から話してもいいかどうか、話すとしたらいつがよいのか…」
「そもそも性の話題をどう切り出していいかわからない」
「性被害に合わないように、どのように身を守るべきか真剣に理解をさせたい」
など、教え方や教える内容に悩み、なかなか実践できていない人が多くいるようでした。
こちらの記事では、性教育の専門家であるシオリーヌさんに、回答者から寄せられた疑問にお答えいただきました。多くの保護者が感じるであろう悩みにもアドバイスをいただいていますので、ぜひ参考にしてください。
※調査概要
調査期間:2023年8月10~11日
調査方法:インターネット調査
回答者属性:子育て経験者160人(20代:14人、30代:67人、40代:55人、50代:18人、60代:6人)
この記事の筆者:古田綾子
雑誌・Webメディアの編集者を経てフリーランスライター。2児の母。子どもの受験をきっかけに教育分野に注力。自らの経験に基づいた保護者視点で、教育界の生の声やリアルな体験談などを取材・執筆。