丁寧な言葉であっても、場面や相手との関係性によってはビジネスには向かない表現である場合があります。「教えてください」もその1つではないでしょうか。
この記事では、フリーアナウンサーの小川厚子が「教えてください」の使い方について解説します。
<目次>
・「教えてください」は正しい敬語表現?
・ビジネスで使える「教えてください」の言い換えと例文
・教えてもらった時のお礼のマナー、返信・返事のポイント
・「教えてください」は使い分けが大切
・まとめ
「教えてください」は正しい敬語表現?
「教えてください」は「教えて」+「ください」の組み合わせで、すでに敬語表現です。しかし「教えてください」というと、少し子どもっぽい印象や、不しつけな印象を与える場合があります。
敬語ではあるものの直接的で口語的な表現
「教えてください」は敬語ではありますが、口語的な表現のため、ビジネスの場で使う時は注意が必要です。子どもが先生や大人に向かって話すときは「教えてください」で十分ですが、大人の場合は場面や相手を選ぶ必要がでてくるでしょう。
場面と関係性によっては「失礼」と感じる人も
ビジネスシーンでは、目上の人とやりとりする場面や、上司部下、取引先の相手などとコミュニケーションをとることが多々あると思います。「教えてください」は口語的な表現であるため、相手との関係性によっては「失礼」と感じられてしまう場合があります。
メールやチャットで使うときは表記に気を付ける
メールやチャットでは顔が見えないため「教えてください」の細かいニュアンスが伝わらず、幼い印象や不しつけな印象を与え、誤解を与えてしまう可能性があります。「教えてください」を使うことはなるべく控え、言い換え表現を活用することが好ましいです。
関連記事:正しいビジネス敬語とは? 間違いやすい使い方やメールの言い回しをアナウンサーが解説【例文あり】
ビジネスで使える「教えてください」の言い換えと例文
ビジネスシーンで活用できる、「教えてください」の言い換えと例文をご紹介します。
「お教えください」
尊敬や丁寧な意味を持つ接頭語「お」をつけることで、謙虚で柔らかい印象になります。
「ご指導ください」
「何か情報を教えてほしいという」より、「やり方や作法などを教えてもらいたい」という場面で使います。また、あいさつ文としても使えます。
「今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます」
「ご教示ください」
高度な技術や専門性のあるものを教えてもらうのではなく、知らない知識や方法を教えてもらうという時に使います。ビジネスシーン全般で使いやすい丁寧な表現です。
「ご教授ください」
専門知識や学問的知識などに関することを、継続して教えてもらう時に使います。教えてもらう事柄によっては、適切でない場合があるのでご注意ください。
関連記事:「ご教授ください」と「ご教示ください」の意味の違いは? 正しい使い方を例文付きで解説
「いただけないでしょうか」など語尾を変える
「もらう」の謙譲語「いただく」を付ける表現です。相手にお願いや依頼をするときに使います。語尾を変えるだけで、より「教えてほしい」という気持ちが伝わり、印象や相手の受け取り方が変わります。
「こちらの改善点についてご教示いただけないでしょうか」
「専門分野の〇〇についてご教授いただけないでしょうか」
クッション言葉を活用する
「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」などのクッション言葉の活用で、さらに丁寧な表現になります。
教えてもらった時のお礼のマナー、返信・返事のポイント
教えていただいた時は、お礼の一言を忘れないようにしましょう。
「教えてくださりありがとうございました」
「教えてくださり」は、相手の行為(あなたが私に教えてくださったこと)に直接感謝を述べるときに使います。
「教えていただきありがとうございました」
「教えていただき」は、受けた恩恵に対する感謝の念を間接的に相手に伝えるときに使います。
「ご教示いただき(くださり)ありがとうございました」
ビジネスシーンでは、「ご教示いただきありがとうございます」のように、よりかしこまった表現がおすすめです。
「教えてください」は使い分けが大切
「教えてください」という言葉1つをとってもさまざまな表現方法があります。上記で解説した言い換え表現は、人によっては少し堅いと感じられるかもしれません。堅くなりすぎると、逆に気持ちが伝わらない場合もあります。状況に応じて使い分けをすることが大切です。
アナウンサーはどう使い分ける?
アナウンサーの場合「耳で聞いて分かることばを使う」「小中学生にも分かることばで話す」というのが基本です。話し言葉の場合「ご教示願えますか」というより「教えていただけますか?」「お教えください」を使います。ただし、メールでは誤解を招かないためにも「ご教示ください」「ご指導くださいますようお願い申し上げます」のように使い分けます。