「ポケモンカード」をフリマアプリやネットオークションで高額転売、また権利侵害商品を出品する行為が問題になっています。この事態を重く見て「ヤフオク!」「PayPayフリマ」を運営するヤフー(以下、Yahoo! JAPAN)とポケモンが相互協力し、対策を講じることを発表しました。以前メルカリが発表していたポケモンとの対策とも照らし合わせつつ、内容を見ていきましょう。
Yahoo! JAPANとポケモンの連携内容
Yahoo! JAPANとポケモンの両社が連携して行う対策は以下の通りです。
■ポケモンが行うこと
・Yahoo! JAPANに対して、新商品の発売情報、商品情報などの情報を提供すること
・Yahoo! JAPANに対して、ポケモンの権利を侵害する出品など「ヤフオク!」「PayPayフリマ」の利用規約などに違反する出品について通報すること
■Yahoo! JAPANが行うこと
・ポケモンからの情報提供に基づき、「ヤフオク!」「PayPayフリマ」のサイトにおいて利用規約などの遵守を注意喚起すること
・利用規約などに違反する出品の削除対応をすること
利用規約などに違反する出品の例として、以下が挙げられています。
・発売日前の出品など、商品の現物を手元に確保していない出品
・権利侵害品の出品
・内容が不明瞭な複数枚のトレーディングカードの出品
メルカリとポケモンの連携内容は?
ポケモンは、メルカリとも連携して対策を行っています。内容は以下の通りです。
■ポケモンが行うこと
・メルカリに対する、特定の新商品発売情報や商品情報、商品画像などの提供
・Webサイトなどでの注意喚起の実施
・生産の強化と、ポケモンカードを純粋に楽しむ人に商品を届けるための直販店における販売方法の工夫、問屋・小売店との協力強化
「Webサイトなどでの注意喚起の実施」「生産の強化と、ポケモンカードを純粋に楽しむ人に商品を届けるための直販店における販売方法の工夫、問屋・小売店との協力強化」に関しては、Yahoo! JAPANとの連携には記載がありませんでした。とはいえ、ポケモンがこれらのことをしてくれればYahoo! JAPANにも影響が出てくるでしょう。
■メルカリが行うこと
・ポケモンからの情報提供に基づいた、「メルカリ」アプリ上や公式ブログでの特定の新商品に関する注意喚起
・ポケモンと協議の上、合意した特定の商品について、「メルカリ」の利用規約に違反する出品への削除対応の実施
メルカリが行うことを見ると、内容は今回発表したYahoo! JAPANの対応とほとんど同じだと理解して良さそうです。規約に違反するものは削除していく方向性です。
ここで注目したいのは、メルカリもYahoo! JAPANも、今の時点では規約違反しそうな商品の出品を禁止にはしていない点です。あくまでユーザーが自由に取引できる場所という立場は崩していません。しかしYahoo! JAPANのリリースには、一歩踏み込んだ内容が記載されていました。
Yahoo! JAPANは一歩踏み込んだ対策も検討
Yahoo! JAPANのリリースには、以下のことが書かれています。
Yahoo! JAPANでは、これらの対策を講じながら、発売日前の商品が「ヤフオク!」および「PayPayフリマ」に出品されることの社会的な影響を調査し、発売日前の商品の出品を禁止にするなど、利用規約等の最適化を含むさらなる対策についても検討を行います。
これまで記載がなかった「出品禁止」に触れています。あくまで「検討する」段階ですが、今後のマーケットの動向によっては出品が禁止されるかもしれません。
これまで出品禁止になったのは、新型コロナウイルス感染症関連のマスクや消毒液など、社会的に大きな影響を与えるものが記憶に新しいと思います。もし発売前のポケモンカードも出品禁止になるとしたら、それだけ大きな問題になっているということでしょう。ここまで考えなければならない状況になっているということを、ユーザーはしっかりと認識した上でサービスを利用していく必要がありそうです。
この記事の筆者:川崎 さちえ
ネットオークション歴19年、フリマアプリ歴9年。NHK『あさイチ』をはじめとした多数の情報番組に出演し、経験に基づいた実践型のフリマアプリやオークションの魅力を伝えている。