「あの番組ってやらせなの?」 リアリティーショー出演経験者が“知人のSNS投稿”で傷ついた過去を語る

「あれってやらせなの?」恋愛リアリティ―ショーに出演経験がある人なら、必ず言われる言葉だ。本記事では、過去にとある番組に出演した経験がある筆者の視点から、出演当時のことを振り返りつつ、出演者への「バッシング」問題についても考えてみた。

「やらせでしょ」と連絡してきた知人の“驚きの行動”に傷ついた

配信開始後、仲が良い友人からは、こんな連絡が。

「出てるやん!」「びっくりしたんだけど」

友人は偶然ネットなどで出演していることを知って(たぶん番組は見ていない)、ただただ筆者が出ていたことに驚いて連絡をしてきた。

一方、遠い知り合いやSNS上でつながっているだけの人からの連絡は、以下のように見事に二極化。

1つ目は「残念だったね」といった励ましの言葉。出演者に完全に感情移入し、すぐに脱落してしまった筆者に同情して、連絡をくれた。そして、2つ目は「あれって台本あるの?」「やらせなんでしょ」といった連絡だった。

このパターンの人たちは、もはや「番組は“やらせ”であってほしい」と願わんばかりに、後日ゴシップ記事が出るとシェアし、どこか疑いながらも恋リアを楽しんでいた。

この「やらせでしょ?」と連絡をしてくる知り合いの1人に、SNSで「友達の〇〇(私の本名)が△△△(番組名)に出てます! 応援よろしくお願いします」と書き込んだ人がいた。

「友達じゃないわ!」と突っ込む間もなく、その後に続けて「友達が即脱落笑。番組上語れないこともあるだろうな……」といった意味深な内容を勝手に投稿した。

すごく腹が立ったのを覚えている。それと同時に、恋リアに出演するということは、このようなリスクを背負う覚悟を持たなければいけないんだな、と感じた。

一瞬しか番組に登場していない筆者ですらこのような状況だったので、ほかの出演者はもっと大変な反響があっただろうな……と思う。

ちなみにこの「やらせなのか」という質問に対して、筆者は「ないよ」と答えていた。もちろん、それぞれの番組、それぞれの出演者によって考え方はさまざまあるはずなので一意見として捉えてもらいたいのだが、筆者が見た現場は意外なほどリアルだった。
 

ネット上で巻き起こる、恋リア出演者へのバッシングを考える

恋リア放送後、必ずと言っていいほどSNS上でバッシングが起こる。番組出演をきっかけに誹謗(ひぼう)中傷にさらされる出演者も少なくない。

SNS上でのバッシングは、筆者に連絡をしてきた遠い知り合いたちと同じく、“二極化”することがほとんどだ。

番組に感情移入しすぎて「悪役」ポジションの出演者を叩く人。そして「やらせでは?」と思いながらも作品を見続け、疑惑が出るたびに、ネット上で大騒ぎする人。

そうした“怒り”の矛先は、出演者や制作側に向かう。そして近年のとある番組では、出演者が亡くなるといった痛ましい事件も起こった。

出演者に感情移入し、時に「やらせでは?」と思うような展開を楽しみながら視聴できるのが、恋リアの最大の魅力だと言える。しかし、忘れてはいけないのは、恋リアは非日常的な環境で撮影をしていること。そして、あくまでリアリティーのある“ショー”であるということ。

恋リアを視聴するうえで、この2つは心に留めておいてほしいと思う。


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この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール

ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。
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