金融庁の試算を発端に話題となった「老後2000万円問題」など、老後の心配事といえばやはりお金ではないでしょうか。スーパーで買い物をする際に、1円でも安いものを選ぶように節約している人もいるようです。
現役時代にいくら稼ぎ、貯蓄をしておけば安心した暮らしができるのか。All About編集部が実施したアンケート調査から、茨城県在住83歳男性のケースを紹介します。
本記事の監修：ファイナンシャルプランナー舟本美子さん（All Aboutガイド）
回答者の情報
こちらの男性は、既婚で子どもあり。現役時代のピーク年収は50代後半の650万円で、現在の貯蓄額は約30万円。83歳時点の年金額（老齢基礎年金、老齢厚生年金、個人年金などの合計）は月11万円で、その額には「満足していない」と回答しています。
83歳男性の年金平均額は？
厚生労働省が発表している「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険（第1号）の平均年金受給額は月額14万5665円。65歳以上男性の平均値を見ると16万9006円。83歳時点の年金額である月11万円は、平均より少ないといえそうです。
「時代の違いと言ってしまえばそれまでですが」
年金額に満足していない理由として「生涯労働時間を計算したことはありませんが、年金を満額受給している人よりはるかに上回ると思います。時代の違いと言ってしまえばそれまでですが」と語る男性。
「中学1年から朝夕の新聞配達、その後の就業ももちろん無年金時代です。現在の年金制度ができたのは、たしか昭和30年代後半からではなかったでしょうか。このようなことがもう少し考慮されていたらと思い、この回答にしました」と、年金制度ができる前の分がもらえていないことに不満を持っているようです。
「1番の後悔は運転免許証を返納してしまったこと」
現役時代の後悔について伺うと「1番の後悔は、現役引退直後に運転免許証を返納してしまったことです。高齢者の交通事故を問題視する報道を目にするたびにいづれはとは思っていたのですが、家族の強い勧めに乗り返納してしまいました」と回想する男性。
「年金だけでは不安なので何かアルバイトをしようと思い応募したものは、全て年齢を理由に断られてしまいました。その中で、免許証があればという条件のところが何カ所かありました」と、アルバイトで使える運転免許を返納したことを悔いているそうです。
「スーパーで1円でも安いものを探している」
現在の年金暮らしで工夫している節約術は「引っ越しもあり、持ち物を整理して売れるものは売り払いました。車、レコード、CD、本など。また、大きな買い物をせず、必要なものはアウトレットや中古品も考慮するようになり、気がついたら衣服などの買い物は、現役時代の数分の一に減っています。外食については、数十分の一です。妻が足を悪くしているのでスーパーに買い物にも行くのですが、1円単位の値段を気にするようになり、少しでも安いものを選ぶようになりました」とのこと。
今後については「年金生活になり20年余りになりますが、だんだんと気づいてきたことがあります。身の回り品や自身の心の中が整理されてくるにつれて、欲望が制御されていることをそれほど苦には感じなくなりました。むしろ、一種の爽快感さえ感じる時もあります。図書館や公民館等をもっと活用していくつもりです。ささやかな副業を頑張ってお金のことはクリアしたいと思います」と語ってくれました。
※回答者コメントは原文ママです
この記事の筆者：石川 カズキ プロフィール
1984年沖縄県生まれ。筑波大学人間学類卒業後、会社員を経て芸人・作家・コピーライターに。エレキコミック・ラーメンズを輩出した芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属。第60回宣伝会議賞コピーゴールド受賞、LOFT公式YouTubeチャンネル「コントするイシカワくん」シリーズのコント台本・出演、KNBラジオCMコンテスト2020・2023協賛社賞受賞など
この記事の監修者：舟本 美子 プロフィール
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
