「婚活」市場で嫌悪されがちな女性の“趣味”といえば……? 成婚率80%を誇る「辛口アドバイザー」植草美幸が、弱みを強みに転換することで理想通りのマッチングをかなえた36歳女性の婚活事例を紹介します。
CASE.2 | 「海外かぶれ女性」は婚活で疎まれやすい!?
婚活や出会いの場で「ご趣味は?」とお聞きするのは定番ですね。実は、男性が敬遠する女性の趣味としてよく聞かれるのが「海外旅行」であることをご存じでしたか? 婚活業界ではよく知られた“あるある”なのですが、30代の婚活女性は趣味「海外旅行」と書きたがる傾向が……。
女性としては積極的で芯のある人物像や、グローバル意識が高く、好奇心旺盛な性格をアピールできると考えるのですが、男性は「キラキラした生活に憧れて、無駄にお金がかかりそう」とネガティブに受けとめるケースが少なくありません。
36歳の婚活女性Kさんは、フリーランスで翻訳の仕事をしていて年収は300万円ほど。アメリカの大学に通った経験があり、ワーキングホリデーで海外生活が長かったせいか、何かと「日本人の男ってさぁ」という上から目線の言い方をします。
本音は日本に住んでいる欧米人と結婚したかったようですが、そういう独身男性は絶対数が少ない上にコロナ禍でますます減ってしまったため、彼女の希望はかなわず、結婚相談所にいらっしゃいました。彼女が出した男性の条件は年齢5歳上まで、年収700万円以上でした。
希望条件は高すぎることはないのですが、彼女のプロフィールは30代後半、年収は平均以下、不安定な仕事……とも言えるので、マッチングするのが難しくなります。
実際、ほかの結婚相談所ではお見合いが組めない、やっとお見合いができてもなかなか先に進まない、と大苦戦。思っていた以上に年齢や雇用形態、収入という条件を比較されることに落ち込んでいました。
「海外かぶれ」を「海外赴任ウエルカム」という強みに転換!
彼女のように年齢や条件で婚活上のハンディキャップがある場合、ほかの女性にはない強みを、ターゲットとなる相手に合わせてアピールすることが必要です。自分自身の棚卸しをして、自らの資産価値を見つめ直してみるようにアドバイスしました。
彼女の場合、それは英語力と海外生活の経験、そして場所を選ばず仕事ができる翻訳という生業です。つまり、「海外かぶれ」を「海外赴任はウエルカム!」という彼女の強み・価値に変えたのです。
そこでご紹介したのが35歳、外務省勤務で年収700万円の男性。彼女の希望にぴったりです。外務省職員の半数は海外の大使館や領事館に勤務していて、彼も海外赴任が決まったことを契機に焦って入会してきました。しかし、20代女性とお見合いを組んでもフラれてばかり。最近の若い世代は内向きで海外志向は高くない、むしろ仕事を続けたいので転勤や海外赴任がある人はNGという女性も増えています。
その点、Kさんは海外赴任ウエルカム。フリーランスの翻訳業はリモートで続けられます。彼の海外生活をサポートしつつ、共働きで家計も支えられるということをアピールした結果、彼は結婚を決意。2人で海外に旅立ちました。
自分の棚卸しで隠れた“資産価値”を掘り起こしなさい!
ぜひお伝えしたいのは、自らの“資産価値”は容姿や若さ、年収という表面的な条件だけでは計れないということ。平凡な人なんていませんし、誰にだって価値があるのです。
バイオリンが弾ける、キャンプが好き、トライアスロンの完走経験がある……どんな趣味や経験がアピールポイントになるのか分かりません。それは相手次第だからです。思いもよらなかった趣味や特技が、2人の距離をグッと縮めてくれることがよくあります。ピアノを共通点に、23歳差のカップルがご成婚した例もあります。
特技も趣味もないです……と言っていた人も、私が聞き出してみると「おばあちゃん子だったので、1人暮らしになった今でもおだしを取って料理しています」「キレイ好きで水回りをいつもピカピカに磨くのがクセになってます」など、本人が気付いていなかった強みを必ず持っているものです。
セルフカウンセリングするなら、自分は何に時間を使っているかを時系列で、どんなに細かな点でもいいから書き出してみること。そこに、自分が意識していなかった強みが潜んでいることもあります。その強みが婚活市場で切り札になるかもしれませんよ。
結婚相談所マリーミー代表。恋愛・婚活アドバイザー。ラジオやWEBメディアも含め、年間約2000件の恋愛・結婚相談を有し、自身が代表を務める相談所では年間成婚率80%を達成するなど業界異例の成果を誇る。「ザ・ノンフィクション」(フジテレビ)をはじめテレビ出演多数。著書に『ドキュメント「婚活」サバイバル』(青春出版社)、『結婚の技術』(中央公論新社)など。