
金融庁の報告書に端を発して話題となった「老後2000万円問題」など、老後の心配事といえばやはりお金ではないでしょうか。住宅ローンの返済が生活を圧迫している人もいるようです。
現役時代にいくら稼ぎ、貯蓄をしておけば安心した暮らしができるのか。All About編集部が実施したアンケート調査から、北海道在住76歳男性のケースを紹介します。
回答者の情報
こちらの男性は、既婚で子どもあり。現役時代のピーク年収は1440万円で、現在の貯蓄額は300万円。76歳時点の年金額(老齢基礎年金、老齢厚生年金、個人年金などの合計)は月18万円で、その額に満足しているか聞くと「どちらともいえない」と回答しています。
76歳男性の年金平均額は?
厚生労働省が発表している「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の平均年金受給額は月額14万5665円。65歳以上男性の平均値を見ると16万9006円。76歳時点の年金額である月18万円は、平均より多いといえそうです。


「生活レベルを落とす事もなかなかできない」
年金額に満足していると言い切れない理由として「年金だけで生活することは困難です。年金受給者の平均受給額がどれくらいなのかは分かりませんが、低い方だとは思っていません。従って年金だけで生活できるように準備するべきだったのですが、全くと言って良いほど準備ができておらず生活レベルを落とす事もなかなかできない状態です」と語る男性。
「もっと年金をたくさんもらえるとありがたいのですが、世の中そう甘くはないと思います。年金生活への準備をしっかりしていなかったことを反省しています」と、満足はしてないが不満も言いづらい気持ちのようです。
「貯蓄をしておくべきだったとつくづく思います」
現役時代の後悔について伺うと「とにかくもらったお金は全部使うという感じで、貯蓄の概念が全くありませんでした。30代で建売住宅を買い、40代で売却して注文住宅を建てました。住宅ローンの負担もけっこう重かったと思います」と回想する男性。
「退職金もそれなりに頂いたのですが、妻と海外旅行へ行ったりして、あっという間に使い果たしてしまいました。夫婦そろって楽天的というか、老後の為に準備をしておかなければという感覚は全くありませんでした。もっと現役時代から老後の為に貯蓄をしておくべきだったとつくづく思います」と悔いているようです。
「いまだに月額7万円の住宅ローンを払っている」
現在の年金暮らしで工夫している節約術を伺うと「現役時代は収入は全部妻に渡していたのですが、妻はとにかく生活のレベルを落とせない人なので、現在は生活費として必要な分だけ渡すようにしています。残りの分は自分で管理してコツコツ今後のために貯蓄しております。歳を取ると、とかくいろいろな物が増えてきますので、必要な物以外は極力買わないように注意しています」とのこと。
今後については「いまだに月額7万円の住宅ローンを払っているのも生活を苦しくしている要因ですので、最低でも住宅ローンの支払いが終わるまでは働き続けたいと思っています。さらに許されるなら健康な内は働き続けて、今後の為に準備をしておきたいです。歳を取ってからお金のことで周囲に迷惑をかけないように、できるだけ貯蓄をすることを考えております。おかげさまで仕事が楽しくできているのでありがたいことだと思っております」と語ってくれました。
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