
金融庁の報告書に端を発して話題となった「老後2000万円問題」など、老後の心配事といえばやはりお金ではないでしょうか。現役時代の仕事の仕方を後悔している人もいるようです。
現役時代にいくら稼ぎ、貯蓄をしておけば安心した暮らしができるのか。All About編集部が実施したアンケート調査から、新潟県在住67歳男性のケースを紹介します。
回答者の情報
こちらの男性は、既婚で子どもあり。現役時代のピーク年収は500万円で、現在の貯蓄額は15万円。67歳時点の年金額(老齢基礎年金、老齢厚生年金、個人年金などの合計)は月14万円で、その額に満足しているか聞くと「どちらともいえない」と回答しています。
67歳男性の年金平均額は?
厚生労働省が発表した「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の平均年金受給額は月額14万5665円。65歳以上男性の平均値を見ると16万9006円。67歳時点の年金額である月14万円は、平均より少ないといえそうです。


「はっきり言ってこの年金額では生活できません」
年金額に満足していると言い切れない理由として「はっきり言ってこの年金額では生活できません。老骨に鞭打って働いています。シルバー人材センターに登録して、アルバイトで警備の仕事を回してもらっています」と語る男性。
「それでようやく、どうにかこうにか生活できています。ギリギリです。だからもっと年金をもらいたいのはやまやまです。しかし、現役時代に収めた年金額から計算して、いまこの年金額であるわけで、そういう意味では文句を言えた筋ではない。この年金額でもしようがないのかなあとは思います。まとめると、生活のために年金はもっとほしい、でも仕方がないという気持ちもある、ということです」と、不満はあるが文句を言えないという複雑な気持ちのようです。
「むしろ残業して社会保険料を払っておけばよかった」
現役時代の後悔について伺うと、「4月から6月あたりの給料を基準にして、社会保険料が決まります。その期間はあまり残業をしないようにして、給料を抑えるようにしました。その結果、取られる社会保険料はある程度抑えられましたが、その分、いまもらえる年金も少なくなりました」と回想する男性。
「むしろ残業をたくさんして、給料を上げて、社会保険料を多く取られていたほうがよかったと思います」と、社会保険料が上がる仕組みを逆に利用しておけばよかったと感じているそうです。
「いずれにしろお金がほしいというのが本音です」
現在の年金暮らしで工夫している節約術があるか伺うと、「やはり手っ取り早く節約できるのは食費です。もちろん栄養を取らなければ病気になって、医者にかかり、かえってお金がかかりますので、栄養面に注意しつつ、安いものを買うように努めています」とのこと。
今後については「いまはアルバイトをして何とか生活しています。しかしすでに年齢は67歳です。永遠に働き続けることはできません。どこかで必ず体が動かなくなって、働けなくなる日が来ます。その日のために、もう少し年金の額をあげてほしいです。また、軽いボランティアに参加したら、少し小遣いをもらえるような制度を作ってもらうなど。いずれにしろ、お金がほしい、というのが本音です」と語ってくれました。
【おすすめ記事】
・月6万5000円の年金で貯蓄ゼロ「スーパーへは行かない」67歳男性が語る年金暮らしのリアル
・月4万円の年金で貯蓄100万円、62歳男性が語る年金暮らしのリアル「熟年離婚もあり得る」
・月15万円の年金で貯蓄800万円「住宅ローンを組まずに……」74歳男性が語る後悔
・月22万円の年金で貯蓄100万円「正直不安しかない」66歳男性が語る年金暮らしのリアル
・月16万円の年金で貯蓄5000万円でも「ちょっと生活が苦しいと感じる」63歳女性が語る年金暮らしのリアル