「桜味」は、桜の葉に含まれる成分に由来していた!
「桜味」とは、桜の香りや風味を食品に加えた味のこと。日本に古くから伝わる伝統的な風味であり、バニラにも似た甘くて華やかな香りが特徴的です。和菓子を中心に、桜の花を飾りにしたり、葉を巻いたりして風味を付けていることが多く、一般的には桜の葉の塩漬けなどを使った桜餅が有名ですよね。
ちなみに桜餅は大きく分けて2種類あります。小麦粉で作った薄い生地であんを包んだ「長命寺」は主に関東近郊で食べられており、もう一方の「道明寺」は関西発祥。道明寺粉と呼ばれるもち米の加工粉で作られており、つぶつぶ、もちもちとした食感が楽しめます。
それぞれ主材料は異なりますが、桜をイメージしたピンクに色付けされていること、塩漬けした桜の葉を巻いているのは共通しています。桜の葉はもともと生地を乾燥させないためや、腐敗を防ぐために巻いていたそうなのですが、実は桜味のもととなるあの香りは桜の花ではなく、葉の方にあるのです。
花は「八重桜」、葉は「大島桜」が一般的
桜の花や葉はそのままではほとんど香りがしませんが、「クマリン」という香り成分が含まれており、特に葉の方に多く含まれています。花や葉を叩いたりもんだり、塩漬けにしたりして細胞を壊すことで、あの独特な香りが感じられるようになります。つまり「桜味」とは、桜の葉に含まれる「クマリン」の香りと、塩漬けの風味なんです。
この香り成分「クマリン」は、品種によっても含有量が異なるそう。代表的な桜であるソメイヨシノにはあまり含まれていません。
私たちがよく見かける桜の葉の塩漬けは、クマリンの含有量が多く、香りが強い大島桜という品種が主に使われています。一方、桜湯や和菓子の飾りなどに多く使われる桜の花の塩漬けは、鮮やかな色味の八重桜が採用されています。
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