「物価は上昇するのに、年金額は減少してたらやっていけない……！」
金融庁の報告書に端を発して話題となった「老後2000万円問題」など、老後の心配事といえばやはりお金ではないでしょうか。年金額の減少も年々進んでいます。
現役時代にいくら稼ぎ、貯蓄をしておけば安心した暮らしができるのか。All About編集部が実施したアンケート調査から、東京都在住74歳男性のケースをご紹介します。
回答者の年金額
こちらの男性は、既婚で子どもなし。現役時代のピーク年収は40代の頃の600万円で、現在の貯蓄額は800万円。74歳時点の年金額（老齢基礎年金、老齢厚生年金、個人年金などの合計）は月15万円で、その額には「満足していない」と回答しています。
74歳男性の年金平均額は？
厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険（第1号）の平均年金受給額は月額14万5665円。65歳以上男性の平均値を見ると16万9006円。74歳時点の年金額である月15万円は、平均より少ないといえそうです。
「物価は上昇しているのに、年金額は年々減少しています」
年金額に満足していない理由として「生活するのにお金が足りません。何かアルバイトがないかとシルバー人材センターに入っていますが、なかなか思うような仕事がありません。妻の年金と合わせて何とか生活していますが、食べるだけで精一杯です。これからもっと高齢になってくると病院やクリニックなどに通院する回数も増え、医療費もままならないと思います」と語る男性。
「物価は上昇しているのに、一定の年金ではやっていけません。むしろ年金額は年々減少しています。どうやって節約して生活していけばいいか毎日考えています。切り詰められることは毎日実行していますが、どうにもなりません」と、物価は上昇するのに年金は目減りする現状に苦しんでいる様子。
「住宅ローンも組まずに賃貸住宅にすればよかった」
現役時代の後悔について伺うと「よく旅行などに出かけていたので、もう少し控えめにしてその分を貯蓄に回せばよかったと思っています。少し遊び過ぎたかなと」と回想する男性。
「住宅ローンも組まずに賃貸住宅にすればよかったと後悔しています。働き先も、もう少し高収入の会社に就職すれば良かった。今から言っても遅いですが……」と、いろいろと後悔は尽きないようです。
「とにかく病気にかからないように健康には注意して」
現在の年金暮らしで工夫している節約術を伺うと「毎日の買い物は控えて、土曜にまとめて買い物に行っています。買ってきたもので1週間の食事や生活をまかなっています。余分なものはいっさい買いません。あるもので毎日の食事をしています。1週間の食事は計画的に献立表を作って、それに沿って料理を作っています。また運動はできるだけお金を使わないよう、市のトレーニング施設など公共施設を利用しています。旅行などには出かけません」とのこと。
今後については「年金収入の他はないので、できるだけその範囲で工夫していかなければなりません。とにかく病気にかからないように健康には注意して、夫婦で長生きして暮らしていければ一番いいですが、いつ何が起こるか分かりません。十分注意して生活していかなければなりません。あまり気をつかっても窮屈ですので、のんびりとゆっくりと暮らしていくのが一番いいと思いますが。とにかく健康維持でいきます」と語ってくれました。
【おすすめ記事】
・月15万円の年金で貯蓄ゼロ「結婚後もずっと働いてきたのに……」68歳女性が語る年金暮らしのリアル
・年金は月12万円、貯蓄2500万円だけど「夫が亡くなってから……」70歳女性が語る年金暮らしのリアル
・月4万円の年金で貯蓄100万円、62歳男性が語る年金暮らしのリアル「熟年離婚もあり得る」
・月6万5000円の年金で貯蓄ゼロ「スーパーへは行かない」67歳男性が語る年金暮らしのリアル
・月25万円の年金暮らし、貯蓄約1000万円の60代男性が語る後悔「現役時代にもっと……」
