「マルチレーベル」運営でアーティストとクリエイターがより自由に!? SMソングの広がる可能性
ゆりこ:レーベルとは簡単に説明するとレコード会社の下位組織で、音源やCDを作る部門や子会社のことです。レーベルごとにスタッフも予算も別、ある程度の独自性は担保される。そしてレーベル独自のカラーや得意ジャンルを持っていることも多く、そこにマッチしたアーティストが所属する形となります。
矢野: アパレル業界でもありますね。大きなメゾンの名の下に、ハイファッション、カジュアル、スポーツ系など多様なラインが細分化しているケース。あえて組織を分けることでクリエイティブに広がりが出ますし、新しい挑戦ができたり、さらに力を発揮できるクリエイターもいるでしょう。いろんな層のファンも獲得できるでしょうし。
ゆりこ:すでにSM内でも、SUPER JUNIORは2015年から「Label SJ」という SM内の別レーベルで活動していますが、既存アーティストのそういった動きも増えるでしょう。新レーベル発足に加えてSMは他社レーベルの買収も考えているみたいですよ。
矢野:HYBEもいろいろ買収していますよね。すでに大ブレイクしていたSEVENTEENの会社(PLEDISエンターテインメント)を買った時はビックリしました。
ゆりこ:K-POP界隈、ざわつきましたよね。SM内で切磋琢磨(せっさたくま)する“ライバル同士”のようなグループも生まれるかもしれません。
矢野:HYBEが買収した「SOURCE MUSIC」からLE SSERAFIMが、新生「ADOR」からNewJeansが出たように、面白いことになりそう。でも、そうなるとやっぱり「SMカラーは薄まってしまうのでは?」という疑問と心配へ回帰してしまう(笑)。
ゆりこ:魔のループにハマる(笑)。その部分に関しては、最初の入口となる「アーティスト発掘」と「練習生育成」の部分を全レーベル横断で一括して行うらしいので、あまりにもミスマッチな子は入ってこないんじゃないかなぁ……。“SM基準”をクリアした練習生の中から、それぞれのレーベル・制作部門へ振り分けられていくのだと理解しています。さらに社内横断でリリースする曲を選別する機関を設置するそうです。
矢野:これはSMらしい、らしくないを全体でジャッジするんですね。“SMらしさ”っていざ言語化するのは難しいけれど、K-POPファンならそれぞれ頭に浮かぶものがあると思います。
ゆりこ: その全部が正解で、いろんなパターンがある。だからいかに「パターン」を増やしていくかというのがマルチレーベル運営の目的なのではないでしょうか。あと、デビューするアーティストの数も増やすんですって。