ひとまず決着した買収騒動、今後のSMエンタはどう変わる?
ゆりこ:まず、カカオの影響は避けられないでしょう。ただ元々「最大株主になった後も、SMのオリジナリティを尊重し、独立的な運営を保障する」と明言していたので、カカオが直接SMアーティストの具体的なマネジメント方針や楽曲など、クリエイティブ部分に深く関与することはないんじゃないかなと予想します。というかそれでお願いします!
矢野:むしろそういった部分のノウハウは既存のSMスタッフの方がたくさん持っているでしょうしね。SMファンが恐れていた「SMの世界観や独自性の消失」については、とりあえず大丈夫……と僕も信じたい。
ゆりこ:とは言っても全体的な運営やお金の使い方は間違いなく変わるし、SM側も変える気マンマンだとは思うのです。今回のキーワードは「革新」だと思っているので。すでにSM側から「SM 3.0」という計画が発表されています。
矢野:「SM 3.0」って具体的にどんな内容なのですか? いろいろ情報を漁ったんですが、ちょっと分かりにくくて……。
ゆりこ:まず「SM 1.0」が創業からH.O.T.のブレイクを経て、BoA、東方神起、少女時代らレジェンドクラスのグループが続々と誕生した2010年代。以降EXO、Red Velvet、NCT、aespaが出てきた2020年代初頭までを「SM 2.0」とフェーズ分け。2023年からは「SM 3.0」と銘打ち、別のステージへと向かいますという話なのです。
矢野:SMの歴史はK-POPアイドル文化が芽吹いて、成長する過程そのものじゃないですか。その華々しい歩みを、あえて「1.0」「2.0」と整理して名付けることで、 “あくまで過去のこと”として捉えようとしているように感じますね。
ゆりこ:そうそう。自社の成功実績や、K-POPの礎を築いてきたスマンさんの貢献も認めつつも、過去の栄光に固執せずに「ファンや株主中心のグローバル企業に変わっていきます」という宣言です。じゃあ具体的にどうするの? ということなのですが、最大の変化は「マルチレーベル体制」になるということです。
矢野:おっ! それってたしかHYBEもそういった体制でしたよね? 以前、BTSとNewJeansは違うレーベルだと聞いて、どういうこと? って思ったのですが。