JYPが無ければBTSも生まれなかったかも!? HYBEとの意外な関係
矢野:最後になりましたが、現在最も勢いがあるHYBEの話へ。こちらの創業者も表に出て活動していた方なのでしょうか?
ゆりこ:パン・シヒョクさんという方で、元々は歌手ではなくソングライターです。作詞・作曲、編曲もこなす音楽プロデューサーとして手腕を発揮し、俳優としても活躍中のRAINや、2AM、そしてBTSの代表曲も多数書いていますし、K-POPのアメリカ進出の足がかりを作ったWonder Girlsの曲も。
矢野:だから、別名義が「ヒットマン」。BTS(防弾少年団)はもちろん、僕がハマっているTOMORROW X TOGETHERもプロデュースしているんですね! すごい……。
ゆりこ:もしかしたら過去作品のアーティスト名からピンと来る人もいるかもしれませんが、長年JYPにいた方なんです。創業初期からのメンバーでJ.Y. Parkさんの元で音楽制作、プロデュース業を学んだそうですよ。
矢野: HYBEとJYPって意外なつながりがあったのですね。もし、パン・シヒョクさんがJYPを辞めていなかったらTWICEの曲を作っていた可能性も?
ゆりこ:あり得たかもしれない。ちょっと聞いてみたいですね。ちなみに、彼の退社のきっかけはアメリカへ長期出張中に些細な出来事でJ.Y. Parkさんと喧嘩したことだそうです。その後仲直りをして、独立後もJYP関連の仕事を請け負っています。
矢野:JYPの重要人物だったんですか。それにしても2人の喧嘩の原因が気になります……。
ゆりこ:餅ゴリさんが「靴下を裏返しのまま洗濯機に入れた」という小さなきっかけでパン・シヒョクさんの怒りが爆発したそうです。一部のファンの間では有名な「靴下事件」(笑)。異国で男2人の共同生活、相当ストレスが溜まっていたのでしょう。
矢野:思った以上に些細なことでビックリ(苦笑)。それだけ当時のアメリカがストレスフルで厳しい環境だったのかもしれないです。
ゆりこ:まだまだアウェイな空気感だったのでしょう。その数年後、彼が作ったBTSによって環境が激変するというのも映画のような展開です。
矢野:ちょっと大雑把な括り方をして恐縮ですが、HYBEにはJYPのエッセンスも入っているともいえますよね。今の2社のカラーが似ているとは思いませんが。
ゆりこ:パン・シヒョクさんがJYPで培ってきたアーティスト育成力、そしてWonder Girlsのアメリカ進出で味わった手応えや屈辱、その全ての経験が反映されているのではないでしょうか。逆にJYPの中にも、パン・シヒョクさんのエッセンスが残っているかもしれません。
矢野:なるほど……ただ正直なところ、「2社のカラー」と言われたときに、実はHYBEのカラーって一番よく分からないんですよね。僕のマイブームTOMORROW X TOGETHERはもちろん、BTSは前から聴いています。あとLE SSERAFIMやゆりこさんの一押しNewJeansもHYBEですよね? あとENHYPENも。でも皆さん結構バラバラといいますか、共通点があまり分からないです。