M世代の韓国エンタメウォッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!
#13のテーマは突如勃発したSMエンターテインメントのお家騒動に関連し、「K-POP業界を代表する大手事務所」について。
長らく韓国の音楽業界を牽引してきた大手事務所の功績や特徴を、これまでのK-POP史と併せて振り返ります。渦中のSMを中心に取り上げた#12に続き、今回はYG、JYP、そしてHYBEについて詳しく解説します。
【前回の記事(#12)はこちら】
YG、JYP、HYBE、SM……K-POP業界を代表する大手芸能事務所の特徴とは?
編集担当・矢野(以下、矢野):2023年1月からK-POP業界はSMエンターテインメント(以下、SM)の買収危機問題でかなりザワついていますね。そもそも韓国の大手芸能事務所ってどんなところがあるんだっけ? というところからおさらいしたいと思います。
K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):#12ではかなりSM中心でお話ししたので、#13は他の事務所についても詳しく解説します。まずはYGエンターテインメント(以下、YG)からいきましょうか。
矢野:BLACKPINKの事務所ですね。そして僕が中学・高校生時代によく聴いていたBIGBANG。
ゆりこ:K-POPファンなら1度は耳にしたことがある社名だと思います。韓国ではBIGBANGの前にも1TYM(ワンタイム)というHIPHOPグループを成功させていまして……。彼らの強みは「セルフプロデュース力」でした。これはBIGBANGにも通じる部分だと思います。
矢野:なるほど、最初からHIPHOPを軸にスタートしてるんですね。でも1TYMの名前は知りませんでした。
ゆりこ:ふふふ。でも矢野さんはそのメンバーの名前を知っていますよ。
矢野:えっ、誰ですか!? 全然見当がつかないです。
ゆりこ:BIGBANGのSOLさんとBTSのジミンさんのコラボ曲が話題を集めましたが、その2人を引き合わせた、音楽プロデューサーのTEDDYさん。彼は元々「1TYM」のメンバーなのです。
矢野:BLACKPINKのプロデューサーですよね? 元々アーティストだったんですか。
ゆりこ:そうなのです。今はYGの関連レーベル「THE BLACK LABEL」の代表でもあります。YGの音楽と成功を語る上で欠かせない人物ですね。
矢野:そういえばYGの創業者って、なんか……事件を起こしていませんでしたっけ(恐る恐る)。
ゆりこ:残念ながらコロナ禍前のYGは不祥事続きでした。詳細を話すと別コラムを作れちゃうほど長くなるので割愛しますが、トップに君臨していたヤンサ(ヤン・ヒョンソクさんの愛称)も脅迫容疑などで裁判にかけられていました。そして事件をきっかけにCEOを辞任しています。
矢野:当時、BIGBANGの事務所の報道をよく見たのを覚えています。
ゆりこ:でもヤンサは最近復帰したんですよ。総括プロデューサーとしてまさかのカムバ。もちろん賛否両論があります。BLACKPINKは大成功したけれど、やはりK-POP業界全体で見ると過去の事件以降、YGのブランド力低下を認めざるを得ない。2023年にデビューするガールズグループ・BABYMONSTERがどこまで結果を出すのか、まさに正念場です。
矢野:まだまだベールに包まれている部分が多いのですが、韓国人や日本人、タイ人メンバーもいる多国籍なグループなんですね。早く詳細が知りたい……!
ゆりこ:勝手な希望として、やはりYGの強みであるHIPHOP系ボーイズグループの登場も期待しています。プライベートではなくステージで合法的に大暴れしてほしい。
矢野:2022年にもお話しした「新人ボーイズグループの戦国時代」が来たら面白いですよね。YG発の最新HIPHOPアイドル、見てみたいです。
ゆりこ:あと、これは持論なのですがK-POPにおいて創業者の音楽性ってその事務所全体の「持ち味」にしっかり反映されていると思うんです。もちろん今はどの会社も多くのクリエイティブスタッフを抱えていますし、北欧をはじめとする海外の作曲家の曲も採用しています。1曲に複数の作曲家、作詞家のクレジットが入ることも多いですが……。