SNSで話題の新語からメールマナー、大人の常識では解読できない若者言葉まで。増殖し続ける「シン・日本語」をプロライター歴30年の山田ゴメスが考察する。
vol.19 Z世代が圧を感じる? 赤の「!」「?」「!?」マークはおじさん世代御用達
夜中にキャバ嬢(24)から送りつけられてきた営業LINEをシカトした翌日の朝に、筆者が返したお詫びLINE。
考察
「おじさんLINE」ってヤツが、いまだ、ちまたのメディアでもてはやされている。とりあえずは、その典型的な “特徴” をもう1度、以下に記しておこう。
(1)やたら句読点が多い
(2)顔文字・絵文字(※特にハートマーク)を乱用
(3)スタンプも乱用
(4)若い女子を「〜ちゃん」付けで呼ぶ
(5)語尾に「〜かい?」「〜かな?」を多用
(6)文章が総じて長い
(7)自分のことを「おじさん」と呼ぶ
(8)相手の私生活を探るような質問がさり気なくまぶされている
(9)すぐ「ディナー」に誘う
(10)ときにストレートすぎる告白
(11)妙にカタカナを使い分ける
(12)「?」「!」マークが赤色
(13)若者のトレンドに中途半端に迎合
※『ぶっちぎりでキモいと評判?「おじさんLINE」頻出の語尾は「~かな?」』より
さて。ここで冒頭のサムネールに掲載した、アラカン筆者のLINE画像である。
(1)(2)(3)(6)(11)(12)……と5割近い、なかなかの頻度で該当している。あと、やたら言い訳がましい!?
インターネットやテレビから情報をかき集めると、
「長文を送らないので、句読点はいらない」
「ハート=下心」
「絵文字使っている時点でヤバい」
「今の若い子は絵文字に感情を乗せない。ただの飾りなのに」
「笑顔に汗かいている絵文字や歯が出ている絵文字がダントツにキモい」
……ほか、Z世代を中心とする、さまざまな若い人たちの見解を拾うことができたが、中でも圧倒的に多かったのが、
「赤のビックリマークやクエスチョンマークはいかにもおじさん風」
……とのくだり。「なんとなく圧をかけられている気分がする」……らしい。
なるほど、理由はよく分かりました! けれど、コレを「ヤバい」「キモい」とZ世代あたりから詰められ、なぜ我々中高年世代は「次から気を付けます」と、いちいち “反省” しなきゃいけないのだろう?
筆者からすれば、赤の「!」「?」「!?」マークは「、」や「。」よりもどこか温かみがにじみ出ていて、しかも、文章の “トメ” として黒の「!」「?」「!?」より目立つから、有用性が高い印象がある。紙媒体の原稿やビジネスメールの文章では使えないので、とても便利でありがたく、つい使ってしまう。むしろ、若い人のモノクロなLINEの方が無機的で、本心が見えないから不気味だったりする。
そりゃあ、語尾に「〜かい?」「〜かな?」を多用して妙にお伺いを立てたり、自分のことを「おじさん」と呼んだり、相手の私生活を探るような質問をさり気なくまぶしたり、すぐ「ディナー」に誘ったり、ときにストレートすぎる告白に走ってみたり、若者のトレンドに中途半端に迎合したりするのは、筆者も「キモい」と思う。そこは「人のふり見てわがふり直せ」の精神で、万全の注意を払いたい。
しかし! 赤の「!」「?」「!?」マークだけは絶対に譲れない!! どうして、なんでもかんでもヤングたちの言われるがままにせにゃならんのか? Z世代の主張は全部が正しいのか?
もはやLINEは若い世代だけの特権ツールではない。日本だと80代、90代のおじいちゃんやおばあちゃんも利用する、いわば「国民的ツール」なのだから(※筆者の両親もそれなりに使いこなしている)、ときには年輩者の方が正しいことだってあるはず……ってなわけで、筆者はこれからも若者に日和らず、赤の「!」「?」「!?」マークだけは「永遠(とわ)に愛用!」を、あらためて固く心に誓う次第なのであった。
もちろん、どっちが真の正解なのか……決着をつける必要は一切ない。ただ、互いの世代が互いの感性を、ちょっぴり譲歩して認め合うだけで構わないのだ。
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