米歌手リゾがグラミー賞を受賞
つい先日、第65回グラミー賞で年間最優秀レコード賞を受賞したリゾ(34歳)。彼女は10代のころから音楽を始め、ついにグラミー賞という栄誉を獲得した。20代半ばからすでにその音楽性で注目を集めるようになったが、同時に彼女自身が子どものころから悩んできた体型についても、積極的にポジティブな発言をするようになった。そして体、セクシュアリティ、人種などに関して、多様性を自分の音楽の中心に据えた。自分を肯定して、どんなあなたもすてきだ、と。それでも2020年には「荒らしが多すぎる」とTwitterをやめている。彼女は常に体型についての攻撃対象となってしまっているのだ。
>リゾの発信はいつだってポジティブ
どんな体型であろうと、どんなセクシュアリティであろうと、人が他人を攻撃する理由にはならない。
多様性に乗り遅れているのは「おじさん」なのか
どの世代のどういう人たちが、多様性を認められずにいるのだろうか。周りから聞こえてくるのは、まずは中高年男性である。男性の多い職場で仕事をしているサホさん(34歳)は、次のように話してくれた。
「私の上司である50代の男性と部下たちが、あるとき3人でクスクス笑いながら話していたんです。耳に入ってきたところによると、取引先のふくよかな女性を話題にしていた。部下1が『課長、デブなんて言っちゃだめですよ、今はプラスサイズって言うんです』と言ったら、上司が『なんだよ、それ。ただのデブってことでしょ。鈍感そうで嫌なんだよね、一緒に仕事できるのかね』って。部下2は『そうですよね』とヘラヘラしてる。私はついムカッとして、『外見で人を判断しないでください』と言ってしまいました。上司は一応、ハイハイと納得したそぶりを見せながら『毎回、打ち合わせや会議で会うの、つらいよな』とつぶやいていました。部下1は不快そうな顔はしていたけど反論はできない。男性社会の上限関係あるあるですよね。彼らはLGBTQについてもまったく理解しようとしません。話題になっても『めんどうだよね』と件の上司は言っただけ」
彼女の姉には中学生と小学生の子がいる。2人ともクラスにLGBTQらしい友人がいるけれど、普通に仲良くしていると話してくれたそう。今の10代にはそれが当たり前なのだろう。そこに乗り遅れているのは中高年男女なのかもしれないが、男性たちのいけないところは「居酒屋でのノリを会社で言ってしまうところ」だとサホさんは言う。
「職場の先輩女性たちは、わりといろいろなことに寛容です。プラスサイズに関しても、もしかしたらよく思っていない人もいるかもしれないけど、表立っては言いません。そういう時代よねと理性で納得しているから。でもおじさんたちは、本音をそのまま不用意に言ってしまう」
政治家だってそうではないか。先日話題になった同性婚についても、そもそも「同性婚を認めたら社会が変わってしまう」と言ったのは岸田首相である。その後、秘書官が「隣に住んでいたら嫌だ」などと、さらに幼稚な発言をした。それを首相は許せないとして更迭したのだから、奇妙なマッチポンプとしか言いようがない。秘書官を更迭するなら、首相自身がまず辞職しなければなるまい。
>年齢ではくくれない、70代でも“分かっている人”は存在する
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