電通は4月8日、LGBTを含む性的少数者「セクシュアル・マイノリティ」(以下、「LGBTQ+層」)に関する調査結果を発表しました。同調査は2020年12月、全国20~59歳の6万人を対象に事前調査を、6240人を対象に本調査をインターネット上で行ったもので、2012年、2015年、2018年に続く4回目。
 

調査名を「LGBT調査」から「LGBTQ+調査」とし、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシュアル(B)、トランスジェンダー(T)だけでなく、多様なセクシュアリティの内訳や、ストレート層(異性愛者であり、生まれた時に割り当てられた性と性自認が一致する人)のLGBTQ+に対する意識についても詳細な分析を行っています。
 

「LGBT」の浸透率は約8割

「LGBT」という言葉の認知度(出典:電通)

LGBTという言葉の認知度については、2018年調査から11.6ポイント上昇し、80.1%となりました。一方でLGBT以外の性の多様性――アセクシュアル・アロマンティック(他人に恋愛感情を抱かない)やエックスジェンダー(性自認が男性・女性どちらとも感じる、どちらとも感じない)などについては、約8割の人が言葉自体も聞いたことがないと回答。LGBTの他にもいる多様なセクシュアリティの存在についての認知はまだ進んでいないことが分かりました。

 

同性婚の法制化は「賛成」82.2%

同性婚の法制化については、「賛成」が31.0%、「どちらかといえば賛成」が51.2%で、計82.2%が賛成と回答。2018年調査の78.4%から3.8ポイント上昇しました。
 

同性婚の法制化について(出典:電通)


回答者の内訳を見ると、LGBTQ+層を除く5685人のうち5.7%に当たる307人の「生理的嫌悪があり、社会への影響を気にする層(電通では「批判アンチ層」と表現)」を除くすべての層において、過半数が法制化に賛成。同性愛者が出てくる映画やドラマ、ドキュメンタリーを観たり、LGBT当事者によるSNSの発信を通じて意識が変わった・理解が深まったといった意見がありました。
 

反対と回答した層は、男性50代の正社員(管理職、総合職)比率が高く、「LGBTQ+が増えると日本の少子化につながる」「普通に異性と結婚して、子どもを産むのが正しいあり方だと思う」「同性愛は生理的に嫌だと感じてしまう」とする比率が他の層と比較して圧倒的に高いことが分かりました。
 

約9割の人が「性の多様性」を学校教育で教えるべきと回答

学校教育でLGBTQ+をはじめとする「性の多様性」について教えるべきかについては、「教えるべき」「できれば教えるべき」と回答した人は88.7%でした。
 

学校教育でLGBTQ+をはじめとする「性の多様性」について教えるべきか(出典:電通)


一方で「教えてもらったことがある」と回答した人は10.4%にとどまり、昨今の教育プログラムに盛り込まれている影響もあってか、若年層の方が教わったと回答した割合は高くなり、LGBTQ+への認知・理解が進んでいる傾向が見受けられました。
 

パートナーシップ制度のある都市に住んでいるLGBTQ+層の59.8%は「人権が守られていると感じている」

社会全般において自分の人権が守られているかを聞いたところ、ストレート層では73.4%が「自分の人権が守られていると感じている」と回答した一方、LGBTQ+層全体では54.8%と大幅に少ないことが分かりました。

自分の人権が守られていると感じるか(出典:電通)


一方、パートナーシップ制度のある都市に住んでいるLGBTQ+層の59.8%は「守られていると感じている」と回答しています。
 

LGBTQ+への課題意識が強い県は

LGBTQ+への課題意識を問う5つの質問の回答をスコア化し平均点を算出したところ、最もLGBTQ+への課題意識が強いのは沖縄県、次いで京都府、山形県でした。
 

沖縄県では沖縄県性の多様性尊重宣言「美ら島 にじいろ宣言」が行われ、沖縄県・京都府ともにパートナーシップ制度を制定しているなど、自治体の動きが後押しをしていると考えられます。電通では「100以上の自治体まで広がりをみせているパートナーシップ制度ですが、人権保護や地域の意識改善のためにも一定の効果があると考えられる」と分析しています。
 

なお、調査ではセクシュアリティを「出生時に割り当てられた性」(出生性)、「本人が認識する性」(性自認)、「好きになる相手の性」(性的指向)の3つの組み合せで分類し、ストレート層と答えた人以外をLGBTQ+層と定義。LGBTQ+層に該当する人は2018年の調査と変わらず、8.9%でした。


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