日本だけでなく、世界的に高い人気を誇っている米アップルの「iPhone」シリーズ。そのiPhoneが世に登場してからおよそ16年が経過していますが、それだけ歴史を刻んだこともあってかここ最近、初代iPhoneに関する話題が海外で出てきているようです。
それは未開封の初代iPhoneがオークションに出品され、高額で落札されているというもの。海外での報道によると、2022年にオークションサイトの「LCG Auctions」で出品された未開封の初代iPhoneが、3万ドル(約400万円)で落札されたそうです。2023年2月にも新たに同サイトで初代iPhoneの未開封品が出品されており、確認したところ2023年2月16日時点での最高入札額は1万8505ドル(約248万円)でした。
このiPhoneの落札価格がいくらになるのかも気になる所ですが、未開封品とはいえ一般販売されていたスマートフォンにそれだけの値段が付くこと自体かなり異例といえます。なぜ初代iPhoneがそれだけ高い評価を受けているのか、今となっては知らない人も多いのではないでしょうか。
初代iPhoneの何が画期的だったのか
アップルが初代iPhoneを発売したのは2007年のこと。当時のCEOである故スティーブ・ジョブス氏が「電話を再発明する」と宣言し、従来の携帯電話とは全く異なる形状の端末を投入したことで、世界的に大きな注目を集め現在のスマートフォン市場の基礎を作ったとされています。
実際、初代iPhoneの特徴は本体前面をほぼ3.5インチのディスプレイが占めており、ボタンといえば「iPhone SE」シリーズに搭載されているホームボタン1つだけ。当時、携帯電話といえば電話をかけるためのボタンが多数備わっているのが当たり前という中にあって、現在のスマートフォンに通じるシンプルなデザインは非常に大きなインパクトを与えたのです。
ですが実はアップルがスマートフォンを生み出した訳ではなく、それ以前からモバイル通信機能を搭載し、タッチ操作でインターネットなどが利用できるスマートフォンと呼ばれる端末はいくつか存在していました。実際日本でも、PHSを展開していたウィルコム(現在はソフトバンク)の「W-ZERO3」シリーズなどがスマートフォンとして人気を博したことがあります。
ではなぜ初代iPhoneがスマートフォンの礎とされているのかというと、当時としては非常に画期的だったインタフェースでスマートフォンの在り方を再定義したからこそでしょう。
それまでのスマートフォンはディスプレイを押して反応する感圧式のタッチパネルを採用し、ペンを用いて操作するのが一般的でしたが、初代iPhoneは指で操作することを前提に、ディスプレイに触るだけで反応する静電式のタッチパネルを採用して操作性を大幅に改善。さらにその反応の良さを生かして、指を払う「フリック」や2本指を使った「ピンチイン」「ピンチアウト」などの操作を取り入れ、Webサイトや地図などを狭い画面でも扱いやすくしたことが、スマートフォンの広がりに大きく貢献したわけです。
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