村上春樹に夏目漱石…たしかに有名だけど「良さが分からなかった作品」を読書好き268人に聞いてみた

『人間失格』や『こころ』、『ノルウェイの森』も……。全国の男女268人にこっそり聞いた、たしかに有名だけど「良さが分からなかった作品」とは? All About編集部が実施した「小説」に関するアンケート調査結果から、回答者のコメントとともに紹介します!


All About編集部は、全国の10〜60代の男女268人を対象に、「小説」についての独自アンケート調査を実施しました(調査期間:2022年10月17日〜11月17日)。その中から、たしかに有名だけど「良さが分からなかった作品」を回答者のコメントとともに紹介します。
 

「ただただ主人公がゴミ」の声も……太宰治の『人間失格』

『人間失格』は、「恥の多い生涯を送って来ました」とつづられる「第一の手記」をはじめ、随所に強烈なインパクトが散りばめられた太宰治の代表作です。

回答者からは、「クズすぎる主人公をみて何が面白いのか全く分からなかったです(34歳女性)」「ただただ主人公がゴミ(21歳女性)」「人間失格というタイトルにインパクトがありすぎて、内容としては弱い人間だなという印象でした(32歳女性)」など、主人公に続々と非難の声が……。

中には、「ひたすら悲しい話で虚無感苛まれるから(29歳男性)」「知人から読んだら自殺したくなると聞いていたが全然そんなこともなく、感情移入もしなかったため(36歳男性)」「呼んでいて面白くなく、学べることもなかったから(25歳男性)」など、主人公に共感することも感情移入することもなく、ただ暗かったという声もありました。
 

「結局なんだったのかな……」大ベストセラー『ノルウェイの森』

世界中に熱狂的なファン“ハルキスト”が存在する村上春樹さんの言わずと知れた大ベストセラー『ノルウェイの森』(講談社)。

回答者からは、「主人公が自分に酔っているような独特な世界観が気持ち悪かったから(34歳女性)」「主人公が余りにも自分本位なのに、常時被害者意識の垣間見える振る舞いに気分が悪かった(34歳女性)」「全く共感できたり面白いと思える部分がない。冴えない男の自分勝手で享楽的、刹那的な若者時代の回想録という感じ(45歳女性)」など、主人公に共感できないという声が多くありました。

ほかにも、「現実にこんなドロドロした男女間の付き合いをしている人は、よほど病んでいる(39歳女性)」「性描写が多いのと、話が回りくどく抽象的で読者に丸投げなところが苦手だった(29歳女性)」「村上春樹の作品に挑戦しては玉砕し全滅している。おしゃれすぎて良さがわからないのかも(54歳女性)」など、村上春樹さんの世界に飛び込んでは玉砕……を繰り返している人もいるようです。
 

うじうじグダグダにイライラ……夏目漱石の『こころ』

日本の代表的な文豪の1人、夏目漱石の長編小説『こころ』。高校の教科書などにも掲載されている名作です。

回答者からは、「人の片思い相手を取ってその人を死なせてしまった話のどこがいいのかわからないから(39歳女性)」「うじうじグダグダしてるのにイライラしてしまったから(33歳女性)」「他の漱石作品に比べて面白味に欠けていた気がする(48歳男性)」など、読んでいてイライラしてしまったという声もありました。
 

ただ、怖くて不快だった……湊かなえの『告白』

読んでイヤな気持ちになるミステリー“イヤミス”の代表的な作家として人気を集めている湊かなえさん。2008年に刊行された『告白』(双葉社)は湊さんのデビュー作。2010年には、松たか子さん主演で映画化されました。

回答者からは、「衝撃的な話だが、内容の良さについては、『衝撃』を上回ってこなかった。何を伝えたいのか分からない(26歳女性)」「伝えたいポイントが不明確だった上に、内容も曖昧だったから(30歳女性)」など、作者が何を伝えたかったのかが分からなかったという声もありました。

さらに、「怖くて不快な印象を受けた一方で、読んで良かったと思えなかったから(ごめんなさい……)(40歳女性)」というコメントも。
 

『火花』『君の膵臓をたべたい』など、新鋭の名作も

お笑いタレントの又吉直樹さんのデビュー作となる『火花』(文藝春秋)は、第153回「芥川龍之介賞」を受賞したことでも知られています。

回答者からは、「私個人が、奇想天外だったり現実離れしていたり、事件を解決したりするようなエンターテインメント性のある物語が好きなので、淡々と日常を描く青春物語的な内容にはあまり興味を持てませんでした。けっしてこの作品自体が悪いわけではなく、好みの問題です(44歳女性)」「自分にはあまり合わない文体で、読みづらかったから(22歳女性)」など、淡々としたストーリーが好みではなかったという声も。

また、累計発行部数260万部を突破する大ヒットを記録した、住野よるさんの青春小説『君の膵臓をたべたい』(双葉社)。実写映画化、アニメ映画化もされ、若い世代を中心に人気を集めました。

回答者からは、「板橋雅弘著作『ウラナリ』シリーズとそこそこ類似しているストーリーであると感じてしまったため(27歳女性)」「子供っぽい漫画のようなセリフが不快で、オチも唖然としたから(35歳女性)」「普通に読める物語でしたが、もう一度読むかと問われれば、否と答えます。一番の理由は結末でしょうか。個人的にはハッピーエンドで終わってほしかったです(29歳男性)」など、結末に納得いかなかったという声が集まりました。


※回答者のコメントは原文ママです


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