「愛着があるので捨てられない」などの理由から、以前使っていた携帯電話やスマートフォンをずっと手元に置いているという人も多いと思います。そしてふと昔の思い出に浸るため、そのスマートフォンを充電して再び電源を入れようと思ったら、そもそも充電ができず使えなくなった……という経験をした人も、意外と多くいるのではないでしょうか。
実はそうした事象が起きるのはスマートフォンだけに限りません。少し前には任天堂が、ゲーム機を長時間充電しないでおくと充電できなくなると注意喚起して大きな話題となりました。
リチウムイオン電池の「過放電」とは
バッテリーを搭載した機器を長い間充電せずに放置してしまうと、使えなくなる事象はよく起き得るものなのです。なぜそのようなことが起きてしまうのかといえば、現在スマートフォンをはじめ多くの機器のバッテリーに用いられているリチウムイオン電池で起きる「過放電」という事象が大きく影響しています。
過放電とは、文字通りバッテリーが放電し過ぎてしまう事を指します。リチウムイオン電池は機器の電源が入っているときだけでなく、電源が入っていない状態であっても少しずつ電力を消費しているのですが、そうした状態が長く続くことで電池の残量が完全になくなってしまい、過放電状態となって使えなくなってしまうのです。
バッテリーを使い切って0%になってしまうと過放電になって使えなくなってしまうのでは……と心配する人もいることでしょう。ですが大半のリチウムイオン電池には、完全な過放電になってしまわないよう保護をする安全装置が備わっており、それが働くことで完全な過放電を防ぎ、再び充電できるようにしてくれているのです。
そうした安全装置の多くは、バッテリーを一定量充電することで解除される仕組みとなっていることが多いようです。しばらく使っていないスマートフォンを通常通り充電してみたが、うまく充電がなされない……という場合は、数時間、あるいは1日というように長時間充電してみることで安全装置が解除され、再び充電できる場合もあります。
ですが過放電の状態が長く続くことはリチウムイオン電池にとって決して良い状態とはいえず、劣化が進んでしまえばそもそも充電自体ができなくなってしまいます。そうなってしまうとバッテリーごと交換しなければ使えなくなくなってしまうので、充電せずに長時間放置してしまうことには注意が必要なわけです。