デートや婚活、結婚式……恋愛や結婚にはお金がかかる。特に現代社会においては、働き方や生き方の多様化が進み、恋愛とお金に対する価値観も変容している。本連載では、これからの「恋愛とお金」について、アラサーの恋愛ライター・毒島サチコが取材をもとに考察。第11回は「結婚式費用」について紹介する(第10回はこちら)。
結婚式の平均費用は292.3万円
お金のかかるイメージの強い結婚式や披露宴。最新のカップルたちの結婚式の平均費用は292万3000円(ゼクシィ結婚トレンド調査2021調べ)。自己負担額の平均は143万7000円となっている。この結婚式費用は一体、誰が出しているのだろうか? リアルな実情を、結婚式を挙げた女性2人に聞いた。
挙式までの間、夫婦で300万円弱の貯金。福利厚生の「お祝い金」も
「2人で折半です」こう語るのは、筆者友人の咲さん(仮名/28歳)。咲さんは会社の同僚と結婚した。
「旦那にプロポーズされてから式場を探し始めて。私は京都出身、彼は北海道出身で、2人とも現在都内在住なので、家族とごく限られた地元の友人・共通の知り合いのみの30人くらいの式にしました。私も旦那もあまり貯金をしていなかったので、結婚式までに共有口座で式の資金を貯めて。式直前は貯金がすっからかんになったけど、ご祝儀が入るだろうという予想をたてて計算してました(笑)」
式場に前払いで払った金額は、300万円弱だそうだ。
「ちなみに私と夫の職場は、福利厚生で『お祝い金』が出るんです。ありがたかったですね」
筆者の周りでも、咲さんのように「婚約後、共有口座を作って、結婚式費用を貯めた」という声は多い。その一方で、こんな声もある。
両親が全額負担。しかし、自分の希望を言いづらくなり……
「最初は折半予定だったんですが……結局夫の両親が出してくれました」
こう語るのは、沙月さん(29歳/仮名)。2021年に挙式をしたそうだが、夫と揉めることが多かったそうだ。
「私は、一生に一度なので、ドレスやウエディングケーキにもこだわりがあったんです。一方の夫は『とりあえずやっとくか……』くらいのノリで。だからそもそもの温度感が違って」
式場を決める段階で、沙月さんは、結婚式に対する温度感の違いでよく夫と言い合いになったという。
「私は豪華な式にしたかった。でも、そうすると、夫が予想していた予算を軽く100万ほどオーバーしそうで。結婚式ってこだわればこだわるほど費用がかさむ……。幸い、自分の貯金があったので、ドレスやケーキなどはそれでまかなおうと思っていたのですが。『式場を決めようと思っている』という話を夫の両親にしたときに、お祝いとして費用を全額捻出してもらったんです」
こうして無事、結婚式を挙げることになった沙月さんだが……。
「夫の母親が結婚式の打ち合せに来たんです。『呼んだ方に失礼のないような引き出物を選ばないと』と言って。お金をいただいているので、嫌とは言えなかったです。結局、夫の母親が高級な引き出物に決めて。それは、私の友人は喜びそうにないものでした。こんなことなら自分で式費用を出せばよかったな~と思いましたね」
親から何かしらの“援助”を受ける人は約7割。「式を挙げない」派も増加中
冒頭に紹介した2021年の同調査によると、結婚式費用について、親から何かしらの援助があった人の割合は69.4%。沙月さんのように全額援助を受ける人もいる。
しかし、援助に頼りすぎると、両親に気を遣うケースが増えるのも事実だ。そのお金は、結婚式ではなく、今後の生活に役立てる、といった使い方を選択するのもアリかもしれない。
前述した「結婚式の平均費用=292万3000円」は、前年度の調査から70万円ほど減少している。新型コロナウイルス感染症の影響により、当初の予定より式や披露宴を縮小して実施する人が増え、そもそも結婚式を「しない」選択をする人も増加中だ。
また、コロナ禍の結婚式に対し、筆者の周囲でも中止・延期が続出した。「コロナの影響で結婚式が延期になって残念」「ゲストを呼びたくても呼べない」といった声が目立つ一方、「コロナを理由に結婚式をしなくていいのはありがたい」といった意見もある。
日本の結婚には、古くから家同士の結びつきという考え方がある。結婚式は「必ずするもの」「費用は親が出すもの」といった古い風習はいまだ根強く残っているものの、コロナ禍を経て、少しずつ変容してきているようにも思える。
ニューノーマル時代、結婚式に対する価値観はますます多様化しそうだ。
※回答者のコメントは原文ママです
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