六本木ヒルズ森タワー52階の東京シティビューで9月17日~11月20日に開催中の「誕生50周年記念 ベルサイユのばら展-ベルばらは永遠に-」。
昭和の国民的少女漫画『ベルサイユのばら』誕生50年を記念した展覧会で、フランス革命を背景にした壮大な歴史ドラマに魅了された当時の少女たち、そして連載終了の翌年から始まった宝塚歌劇の舞台に魅せられた宝塚ファン(通称:ヅカファン)たちが殺到していて、SNS上などでも話題を集めています。
長きにわたり人気を集め、社会現象にもなったベルばら。令和の今、どんな展示で人々を引きつけているのでしょう。連載をオンタイムで読んでいた世代よりはちょっと年下、しかしベルばらは子どもの頃全巻読破している筆者が平日の昼間に足を運んでみると……。
主人公はやはりこの2人
1972年4月から1973年12月まで、『週刊マーガレット』(集英社)に連載されていた『ベルサイユのばら』。2000ページにも及ぶ超大作は、ファンレターが月に数万通届くほどの大人気作品でした。
今回の展覧会では、運命に翻弄されるフランス王妃、マリー・アントワネットと、女性ながら軍人として生きる男装の麗人・オスカルの2人に焦点を当て、当時の貴重な原画、宝塚で使用された舞台衣装、周辺グッズなどが4つのコーナーに展示されています。
キャラクターとの記念撮影をプロカメラマンが無料で!
六本木ヒルズ52階からの眺望をバックに、まず私たちを迎えてくれるのがベルサイユ宮殿をイメージした優雅な回廊。おなじみの登場人物たちのパネルがそこここに現れ、懐かしさ、そして時代を超えての美しさに気分が高揚していきます。
中央には今回のメインキャラクター、オスカルとマリー・アントワネットが鎮座していてフォトスポットとして1番人気。ここにはプロのカメラマンが常駐していて有料(1500円)のフォトサービスが行われています。が! 実は来場者のカメラ(もちろんスマートフォンも)でも、無料で撮影をお願いできるのです。出来上がりはご覧の通り完璧な構図。快く引き受けてもらえるので、カメラマンの姿を見つけたら、どこで順番を待てばよいかなど指示を仰ぎましょう。
名シーンを前に立ち尽くすファン多数
華やかなエントランスの次はいよいよ貴重な原画の展示。約180点の原画が物語に沿って並び、今まで読んだことのない人でもストーリーが分かるようになっています。
登場するのはどれも名場面ばかり。子どもの頃には理解しきれていなかったセリフの真意、キャラクターたちの苦しみが表情からひしひしと伝わってきて、大人になった今だからこそ受け取れるメッセージに圧倒されました。これは来場者誰もが同じようで、平日の昼間、エントランス付近はむしろ空いている印象だったのですが、原画を前に皆動きがゆっくりに。結果、列がなかなか進まず、渋滞を起こしているスペースがかなりありました。
当時24歳だった作者・池田理代子さんは、「もっと自分の思い通りに絵を描きたい」と連載中にも画の勉強を続けていたそうで、若さと情熱を込めた原画からは熱いものが伝わってきます。登場人物の年齢の進みもあるのでしょうが、どんどん美しく、崇高に変化していく筆致にただただ感動。特にオスカルの目力がどんどん強くなっていくのが印象的でした。
オスカル・生涯ただ1度のドレスの再現
注目は男装の麗人・オスカルが生涯ただ1度まとったドレスの再現。これは2007年に文化服装学院の学生14人が、当時開催された展覧会のために約7か月をかけて制作したもの。
いかにもプリンセスといったようなレースいっぱいのものではなく、大人っぽいデザインが当時子ども心にも印象的だったのですが、再現ドレスを見てもやはり上品で高貴。オスカルのイメージにぴったりでため息ものでした。ちなみにオスカルの身長は178cmだそう。あのスリムな軍服を着こなすスタイルの良さと合わせて考えると……スーパーモデルですね。
会場内はオンタイムで漫画を読み、宝塚でベルばらを長く鑑賞してきたと思われる年代の女性が圧倒的に多く、会場出たところにある特設ショップでは皆さんグッズを大人買いしていました。
名場面を前に足を止めて、ちょっと涙ぐんだり感傷に浸ったり。そこまで混んでいない平日昼間でも、1時間半以上は時間を取ってしっかり鑑賞したいベルばら展でした。
DATA
誕生50周年記念 ベルサイユのばら展-ベルばらは永遠に-
会期:2022年9月17日(土)~11月20日(日)
会場:東京シティビュー(六本木ヒルズ森タワー52階)
※チケットは事前予約制(日時指定券)
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