「離婚して後悔したって話、聞かないよね」子どもは欲しいけど、結婚はしたくない30代女性が考える現在地

厚生労働省の人口動態調査によると、2020年の日本の女性の平均初婚年齢は、29.4歳。初産平均は30歳7カ月。「30歳前後で子どもを産みたいから結婚している」という人も多い。日本では、結婚と出産はセットで語られるが「子どもは欲しいけれど、結婚したくない」と考えるキャリア女性もいるようだ。


リナさん(仮名・31歳/高校教諭)は「子どもは欲しいけれど、結婚はしたくない」と話す。彼女は都内で教員として働いている。彼女には、過去に結婚を考えたパートナーがいた。しかし、同居したことをきっかけに別れてしまったという。

 
「27歳の時、同業の3つ上の彼と結婚前提の同棲をしていました。お互いかなり忙しかったのですが、基本的に、料理や洗濯などの家事は全て私がやっていました。彼のほうが帰るのが遅かったので、しょうがない部分はあるけれど、非協力的な彼にイライラすることも多かった」
 
忙しい日々を送る中で、付き合いたての情熱的な気持ちは消え、けんかも増えた。ふと、リナさんはこんなことを思い始めたようだ。
 
「もし彼と結婚して、子どもが生まれたとしたら、今の仕事と家事に育児がプラスされる。彼は手伝ってくれない。そう考えたら、私は経済的に自立しているし、『子どもは欲しいけれど、結婚はしたくない』って思考になって。結婚はいつでもできるけど、もう31なので、子どもは急いで作りたい。でも世間体的に、未婚で子どもを産む勇気はないですね……」
 

「離婚して後悔したって話ってあまり聞かないんですよね」

彼女がこう考えるようになったのは、離婚した友人のこんなひと言もきっかけの1つだった。
 
「先日、友人が離婚したんです。離婚原因は、旦那のモラハラだと聞いています。彼女は、3歳の息子を連れて、実家に戻りました。今は地元企業で働き、家族に手伝ってもらいながら子育てをしている。『離婚してよかった』『旦那はいらない』と言っていたのが印象的で。離婚後のほうが幸せに見えた」
 
リナさんやリナさんの友人は、自身の収入があり「周囲の協力や子育てサービスを利用すれば、旦那がいなくても、子どもは育てられるのでは」と語る。
 
「結婚して後悔したって話は聞くけど、離婚して後悔したって話ってあまり聞かないんですよね」
 
リナさんは結婚に対して、かなりネガティブなイメージを持っている。リナさんの友人が放った「旦那はいらない」という言葉もかなりのパンチワードだ。
 

「旦那」と検索してみると……

筆者はこの話を聞いた後、Googleの検索エンジンで「旦那」と入力した。「旦那に対して嫌悪感を持つ人はどのくらいいるのだろうか」と疑問に思ったからだ。夫婦仲が良く、幸せな生活を送っている夫婦も多いはず……。
 
ところが、検索窓に「旦那」と入力すると、真っ先にサジェストに出てきたのが「旦那デスノート」だった。サイトに飛んでみると、真っ黒なトップページにたどり着き「夫に今すぐ死んで欲しい。毎日思っている。お願いだから死んで。世の中にはお前より素晴らしい人達が生きられないとか不公平だ」といった文字が表示され、そこには、旦那に対する“デス書き込み”が大量に並んでいる。
 
過激な書き込みが多いことに驚いたが、どうやら「旦那はいらない」と考えている、少なくとも旦那に対して過度なストレスを抱えている女性は、リナさんやリナさんの友人だけでなく一定数いるようだ。
 

「シングルマザーは子どもがかわいそう」は前時代的?

「夏美、子ども産んだらしいよ」
 
先日、仕事仲間と食事をしていたら、共通の知り合いである夏美さん(仮名・27歳)が男の子を出産したという知らせが飛び込んできた。夏美さんのSNSを見てみると、幸せそうにほほ笑む彼女と男の子のツーショットが掲載され、祝福のコメントが並んでいる。
 
「いつの間に」と言う私に、友人が「結婚はしてないんだって」と教えてくれた。
 
友人たちからは「前から夏美は子ども欲しいって言ってたし、今の時代、1人で育てられるなら、それでいいよね~」という声が上がる一方、「いや、でも子どもがかわいそうじゃない?」というシビアな意見も上がる。
 
ちなみに、夏美さんが、自身で選択してシングルマザーになったのか、それともシングルマザーを選択せざるを得なかったのか……知る人はその場にいなかった。
 

「結婚しないまま、子どもを産む」日本の婚外子は全体の2.3%

近年、少子化が深刻化する日本において、結婚をせずに子どもを持ちたい女性の選択肢として「選択的シングルマザー」が注目されている。
 
しかし、厚生労働省の人口動態調査によると、2019年に生まれた子ども全体のうち、婚外子の割合は、2.3%。日本で「結婚をせずに子どもを産む」という女性は少数派で、「結婚と出産」はセットで語られがちだ。
 
一方、デンマークの精子バンクの利用者は、独身女性が50%を越えるといわれている。医療費、さらには不妊治療も無料(一部を除く)で提供されているデンマークでは、精子バンクなどを利用して未婚で出産する女性が増え始めているようだ。独身女性でも育児しやすい仕組みを社会全体が構築している。
 
このような先進国を例にとり、日本も「少子化対策のためには、未婚で子どもを産める制度を整えなければならない」という声が上がる。しかしその一方で、未婚の母に対して「子どもがかわいそうだ」「子どもは親を選べない」などの否定的な意見も目立つ。
 
「世間体的に、未婚で子どもを産む勇気はないですけどね……」と語るリナさんや、未婚で出産した夏美さんに対し「子どもがかわいそう」という友人。
 
法律や慣習の上で「結婚していないのに子どもを出産する」ことを容認しがたい風潮が、日本の少子化の一因となっているのは間違いなさそうだ。


※回答者のコメントは原文ママ


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