子どもの頃、学校の先生や親から「整理整頓をしなさい!」と叱られたことがある人もいらっしゃるかもしれません(筆者は、学校のロッカーはキレイでしたが、家では毎日のように叱られていました)。
この「整理」と「整頓」という言葉、どちらも「片付ける」という意味があることは皆さんお分かりかと思いますが、細かい意味に違いがあることはご存じでしょうか。
「整理」「整頓」について、それぞれの意味や正しい使い方を解説していきます。
・「整理」と「整頓」の違い
・「整理」の意味とは
・「整頓」の意味とは
・「整理整頓」の意味とは
・「整理」と「整頓」の使い分け
・「整理」と「整頓」の正しい使い方と例文
・「整理整頓」とは「整える」のが共通の意味
「整理」と「整頓」の違い
「整頓」がすでにあるものを整った状態に片付けることを指すのに対し、「整理」にはただ片付けるだけでなく、要らないものを処分するという意味もあります。
『類義語の使い分け辞典』(研究者印刷)によると、「整理」は乱れた状態に秩序を与えたり、効率を高めたり、すぐ利用できるようにすることであるのに対して、「整頓」は見た目に美しく片付けることであるとされていて、どんな風に整えるかにも違いがあるようです。
『日本語 語感の辞典』(岩波書店)では、「整理」は、「頭を整理する」「問題を整理する」のように抽象的な対象にも用いるのに対して、「整頓」は具体的な物にしか用いないとして、整える対象についての違いも指摘されています。
「整理」の意味とは
「整理」を辞書でひくと、次のように記載されています。出典:『広辞苑 第七版』(岩波書店)
(1)乱れた状態にあるものをととのえ、秩序正しくすること。
(2)不必要なものを取り除くこと。
「整理」には、「整える」という意味だけでなく、「無駄なものを処分する」という意味が含まれています。
「整頓」の意味とは
「整頓」を辞書でひくと、次のように記載されています。出典:『広辞苑 第七版』(岩波書店)
(「頓」も整う意)よく整った状態にすること。きちんとかたづけること。
「整理」と「整理」の2つの言葉をつなげて「整理整頓」という場合には、不要なものを処分したうえで(整理)、片付ける(整頓)という意味があることになります。
「整理整頓」の意味とは
聞き慣れた言葉に「整理整頓」があります。これは物事をきちんと整えて、秩序をもって配置することを意味します。具体的には、不要なものを取り除き(整理)、必要なものを適切な場所に並べる(整頓)ことを指します。
「整理」と「整頓」の使い分け
2つの言葉の意味の違いを「片付け」の場面に置き換えて考えてみます。
一時期流行した「断捨離」は不要なものを手放していくことですので、「整頓」ではなく「整理」です。
また、某有名な片付けメソッドで、ときめかない物は処分するというのは「整理」、片付けたり使ったりしやすくするために物の置き場所(定位置)を決めるのも「整理」、その決められた定位置にきちんと置くことによって見た目に整った状態にすることは「整頓」に当たります。
他人からすると一見乱雑に見えるような机や部屋が、本人にとっては無駄がなく、マイルールに従って決められた位置に物が置かれている、というような場合、「整頓」されているとは言い難いですが、その人にとっては「整理」されていると言えるのかもしれません。
【関連記事】断捨離とは? ミニマリスト・整理整頓との違い
「整理」と「整頓」の正しい使い方と例文
ここまで示したように、「整理」と「整頓」は意味に違いがあります。具体的な例文で、それぞれの言葉の使い方を示していきます。
まずは「整理」を使う場合です。
・具体的なものが対象の場合の例文
「この資料を明日までに整理しておいてください」「祭りの日は混雑するので、交通整理が必要です」
「経営の悪化で、人員整理の必要に迫られています」
・抽象的なものが対象の場合の例文
「一度、考えを整理してからお話しください」「まだ感情の整理がつかないままです」
「みんなの意見を整理するとこの結論にたどり着きます」
「整頓」を使う場合の例文は以下の通りです。
「机の中を整頓しなさい」
「よく整頓された部屋は気持ちがいいですね」
「棚を整頓したら、見違えるようにきれいになりました」
「整理整頓」とは「整える」のが共通の意味
「整理」と「整頓」は、どちらも片付けて整った状態にするという意味で共通する言葉ですが、細かい意味には違いがあります。
不要なものを処分して、秩序のある状態に整えるのか、それとも、物は減らさず、見た目がキレイな状態に整えるのか、状況によって適切な言葉を使ってみてください。