2023年3月に開業予定の相鉄・東急直通線は、9年半にも及ぶ工事が大詰めを迎えた。相模鉄道と東急電鉄、鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)は7月22日、新横浜駅でレール締結式を行った。
2023年開業「相鉄・東急直通線」
相鉄・東急直通線は、東急東横線&目黒線の日吉駅から新横浜駅を経由して、すでに完成している相鉄の羽沢横浜国大駅までの約10キロのルートで、日吉~新横浜が東急新横浜線、新横浜から羽沢横浜国大を経て西谷までが相鉄新横浜線と呼ばれる。
今回、新規開業区間の線路がすべてつながったことから、レール締結式が地下に新設される新横浜駅にて挙行された。
式は、関係者の挨拶及び祝辞で始まった。建設を担っている鉄道・運輸機構の理事長・河内隆氏、東京支社支社長・蓼沼慶正氏の話の後、来賓として招かれた国土交通省大臣・斉藤鉄夫氏、神奈川県知事・黒岩祐治氏、横浜市長・山中竹春氏が登壇して挨拶した。
横浜市内が選挙区である菅義偉元首相も招かれていたのだが、諸般の事情からご本人は出席せず、代理人が挨拶文を読み上げた。警察の警備が目についたのは、先般の銃撃事件が影響しているのかもしれない。
その後、40人近い来賓が2組に分かれて線路上に降り、立った状態でパンプーラ―という器具を手前に引いてレール締結の所作を行った。これにて新規開業区間のレールがすべてつながったのである。
念のため、係員がレール締結の点検確認後、安全を祈願して日本酒を使って清めの儀を行い、来賓によるテープカットおよびくす玉割りのセレモニーによって会場は最高潮に達した。
最後は、軌道モーターカーが発進して、レール締結部を通過。車両が安全に走行したことが確認できた。
締結式が無事終わったことで、作業は開業に向けて最終段階に差しかかる。土木関係の工事はほぼ完成したので、今後は電気関係工事を仕上げ、施設の総合監察、走行予定の電車を使っての試運転を繰り返し、駅施設などの仕上げも行い、2023年3月の開業を迎えることとなろう。
多くの鉄道が乗り入れる予定だが、運転系統や列車本数の詳細は未だ発表には至っていない。どのような形となるのか、興味は尽きない。また、新ルートの開業による人の流動について、東京都心への流出が進むのか、あるいは新横浜駅周辺の発展につながるのか、どのような変化が生まれるのか注視していきたい。
今回の取材に際し、筆者は都営三田線から東急目黒線直通の電車を利用した。もっとも、日吉と菊名で乗り換えての新横浜駅到着だった。これが、新線開業後は、都心から乗り換えなしで新横浜に行けることになり、その利便性は計り知れない。
一方、東海道新幹線が目の前を走る相鉄本線の西谷駅付近から新横浜駅に向かうには、一旦横浜駅まで出て、JR横浜線あるいは地下鉄ブルーライン経由という迂回ルートをたどるしかなかったのであるが、これも一気に25分程度の時間短縮となり、乗り換えなしで7分程度の所要時間と予想される。
工事関係者の「10年近い工事の完成は感無量であり、開業後は大いに利用していただきたい」との言葉は実感がこもっていた。
取材協力=鉄道・運輸機構、相模鉄道、東急電鉄
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