メッセンジャーアプリやSNSで見かける話題のネットスラングから、大人の常識には当てはめられない日本語の新たな用法、もはや「?」な若者言葉まで。ネット社会にあふれる「シン・日本語」をプロライター歴30年の山田ゴメスが考察する。
 

vol.7 汎用性が高くて気軽に使える? おなじみの「三文字」


「ヤバい」は、1990年代あたりから「あやしい」「きびしい」「びっくりした」「おもしろい」「たのしい」「おいしい」「かんどうした」……もろもろと、さまざまなシチュエーションでカジュアルに使用できる「もっとも便利な形容詞」として重宝されているが、語源は江戸時代にまでさかのぼり、当時はかなりネガティブでヤクザな言葉であった……のだそう。
 

使用例(※現代)

「依存度が高すぎてヤバい?日本でもっとも便利に使える“三文字”言葉」(某ネット記事タイトルより抜粋)

「表参道の◯◯のパンケーキ、めっちゃ盛り盛りでヤバすぎ〜(ハートマーク)」

「今度の『トップガン(マーヴェリック)』、かなりヤバめっす!」

「大谷の今日のホームラン、ヤバくね!?」

「大谷のスライダー、変化の角度ヤバすぎだろ!」
 

類語

・エグイ

・エモイ

・スゴイ
 

対義語(?)

・ショボイ

・ダサイ

・しょっぱい
 

考察

江戸時代にはすでに存在していたとされる「ヤバい(ヤバイ、やばい)」の語源は諸説あるが(※十辺舎一九の『東海道中膝栗毛』でも「やばなこと」という表現が用いられている)、その中でも有力とされているのは、

・昔は牢屋を守る看守のことを「厄場(やば)」と呼んでおり、犯罪者の間で「あまりよろしくない状況」を表現する際の隠語として使用されていた

・昔は射的場のことを「矢場(やば)」と呼んでおり、江戸時代の矢場は一部で悪事の巣窟ともなっていたため、「迂闊に近づいたら役人に目を付けられてしまう場所」というニュアンスで使用されていた

……の2つで、いずれにせよ、昨今のように「汎用(はんよう)性の高い気軽な感嘆詞」的な扱いではなかった……らしい。

記事の見出しや収録映像のテロップなどであまり無用心に乱用しすぎると、

「きちんと由来を調べてから、正しい使い方をするべき!」

……なんてクレームが入りやすい、メディア側にとってもなかなかにデリケートな三文字だと聞くが、筆者もプライベートな会話においてはけっこうな頻度でつい口にしてしまいがちなハイポテンシャル・ワードであることは認めざるを得ない。(※ちなみに、先日参加した早朝草野球でもたった2時間で、味方チームのナイスヒットや敵チームのナイスピッチング……ほかを目の当たりにし、少なく見積もっても20回以上は「ヤバっ!」を連発していた笑)

ただ、一文筆業者として原稿へと取り組むにあたり、この「ヤバイ」に頼りすぎることが、表現力・語彙力の低下へと直結するのは間違いのない事実であり、もしこのコラムを読んでくださっているアナタも、そういった同様の危機感を一片でも抱いてしまったのなら、筆者が女性ファッション誌の仕事を受けていたころに実践していた、

「かわいい」「美しい」「キレイ」「素敵」の4単語を禁句とする執筆を心掛ける

……という訓練に「ヤバイ」を加え、LINEやSNSのメッセージ作成に挑んでみてはいかがだろう? コレですねぇ……ぜひ実際にやってみてくださいよ! けっこうむずかしいですから笑!!


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