メッセンジャーアプリやSNSで見かける話題のネットスラングから、大人の常識には当てはめられない日本語の新たな用法、もはや「?」な若者言葉まで。ネット社会にあふれる「シン・日本語」をプロライター歴30年の山田ゴメスが考察する。
vol.5 文中の「、」「。」を徹底的に排除するトレンド?
20〜30代の若い世代から送信されてくるメールやLINE、およびSNSなどの文面で顕著にみられる傾向。
使用例
くらめにしてマツエクしたこれからさつえいねねぇまたさ写真とって欲しい♪───O(≧∇≦)O────♪(※ゴメス宛に送信されてきた、24歳ギャル系読者モデルのLINEより抜粋)
考察
筆者の雑感としては、20代から30代半ばにかけてのミレニアル世代後半・Z世代あたりから年齢が若くなればなるほど、文中の句読点「、」「。」を徹底的に排除するケースが常態化している印象がある。
ちなみに前出した例文の正解(?)は、おそらく
「(メイクもしくは照明を?)暗めにしてマツエクした。これから撮影。ねねぇ! またさ、写真とって欲しい。」
……であろう。ただ、「これから撮影ね。ねぇ!」が正解──すなわち「これからゴメスさん、撮影なんでしょ?」なる疑問形のニュアンスが含まれている可能性も100%は捨て切れない。
いずれにせよ、主語も目的語も不在なため、相手側の意図がじつに判別しづらいメッセージではあるが、仮に、これが仕事上でのメールなら(※仕事でやりとりする内容とは程遠いが笑)、
くらめにしてマツエクした
これからさつえい
ねねぇ
またさ写真とって欲しい
……と、改行によってどうにか読みやすくもできるものの、LINEとかで乱打されるとまるでちょっとした暗号のようで、我々中高年世代にとっては解読も非常に困難となってくる。
どうやら、イマドキのヤングたちは句読点、とくに句点「。」を文末に打つのが怖い……みたいな感覚があるらしい。
「。」によってトメられたセンテンスに「事務的で血が通っていない」「なんとなく叱られているっぽい」……ような“冷たさ”を感じ取ってしまうのが理由なのだという。
しかし、昨今の若い世代を中心とする「文中の句読点を徹底的に排除する」トレンドは、「Twitter文化の定番化」にも少なからずの起因があるのでは……と、筆者はにらんでいる。
140文字という字数制限のなか、
「一文字でも多くの文字をブチ込んで自分の想いを世界に向けて発信したい!」
……といった切実な願望が「、」「。」……ひいては「!」「?」すら“無駄文字”と見なす発想へと到り、その結果、
「句読点=いたずらに一文字としてカウントされる不要な記号」
……として、次第と邪険に扱われるようになってきてしまったのではなかろうか。
こうした実状を憂う年輩者が「キミのメール、句読点がないから読みにくいよ!」と仕事上のやりとりで注意を促すのは百歩譲ってアリかもしれないけど、コレをプライベートのLINEなどでしたら「ウザいおっさん」のレッテルを貼られておしまい。世代間ギャップを超えた交流をはかりたいのなら、せめてこの難読文体を違和感なく可読できるくらいには慣れていくしかないのである。
彼ら彼女らは彼ら彼女らなりに、「ねねえ」の「え」を小さくして「ねねぇ」と変換することによって「、」(読点)代わりにしたり、あと「笑笑」を文末に加えることで「。」(句点)代わりにしたり……と、地味な工夫を凝らしているのだから。筆者なんかは、句読点を打つよりソッチのほうがずっと面倒臭いと思うのだが笑笑?
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