東京・砧公園内の世田谷美術館にて、「こぐまちゃんえほん」シリーズの作者・わかやまけんの大回顧展「こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界」がスタートしました。開催期間は7月2日~9月4日。
これまで、こぐまちゃんについての小規模な展覧会は開催されてきましたが、わかやまけんの創作世界の全貌をたどる全国規模の展覧会は、これが初となります。
こぐまちゃん誕生から50周年
全15作からなる「こぐまちゃんえほん」シリーズ(こぐま社)。1970年に第1作目『こぐまちゃんおはよう』が誕生して以来、一度見たら忘れられないかわいさとビビッドな色合い、親しみやすいストーリーで、世代を超えて愛されてきました。
今回の展覧会は「日本の子どもたちがはじめて出会う絵本を作りたい」というコンセプトのもとに生まれた絵本の、誕生50周年を機に企画されたものです。
作者のわかやまけんは、岐阜県岐阜市生まれ。グラフィックデザインの仕事を経て24歳で上京し、教科書の挿絵や紙芝居などを手がけた後、絵本の創作活動の道へ入りました。展覧会は、「こぐまちゃんえほん」シリーズの絵本原画やリトグラフはもちろん、彼がはじめて手掛けた紙芝居、こぐまちゃんの世界とは雰囲気の異なる初期の作品、わかやまけんが力を入れた“絵によって語ることのできる「純絵本」”についての資料など、約230点で構成されています。
こぐまちゃんの“色”にはとてつもない情熱と労力が!
実際に会場に足を踏み入れると、改めて「こぐまちゃんえほん」シリーズの色の鮮やかさに驚かされます。実は「こぐまちゃんえほん」シリーズは、濁っていない美しい色を子どもたちに届けたいという想いから、美しい発色のために6色の特別な「こぐまちゃんインク」を1色ずつ刷り重ねる方式で作られています。そのため1ページの絵のために色の数分だけ6枚もの原画を描かなければならず、さらに「重なったらどんな色が出るか」「どこにどう色がつくか」などを頭の中で計算しながら制作するという、とてつもない労力が込められているのです。
展示では、描き分け原画や試し刷りのリトグラフ、実際に刷っている作業の動画などで、「こぐまちゃんえほん」誕生秘話を知ることができます。
あのシーンに違う絵が存在!?
もう1つ会場でびっくりしたのが、「あのおなじみのシーンに違う場面が存在していた」ということ。初版当時から比べると、家電の進化や習慣の変化などがあり、読者から「これは今もう使わないのでは?」などという声が寄せられ、変更した画がいくつも存在するのです。
会場には『しろくまちゃんのほっとけーき』で変更された絵が、before/afterで並んで展示されているので、どこがどのように変わったのか探すのも一興。50年のロングセラー絵本ならではの逸話です。
熱いオリジナルグッズ!
さらに最後、びっくりしたのが展示会場を出たところに特設されているショップ。しろくまちゃん、こぐまちゃんがデザインされたかわいいグッズが所狭しと並んでいるのですが、売り場のざっと約3分の2ほどがこの展覧会のために作られたオリジナルグッズだそう!
これまでさまざまな展覧会を取材しましたが、限定品がここまで豊富にあるのは初めて。“ここでしか買えない”がこんなに……! 度肝を抜かれました。
美術館のエントランス前の植え込みには、こぐまちゃんとしろくまちゃんの姿があり、お出迎え&お見送りしてくれます。この可愛らしい姿に込められたわかやまけんのとてつもない情熱を思いながら、一緒に記念写真で〆てみてはいかがでしょうか。
<DATA>
「こぐまちゃんとしろくまちゃん 絵本作家・わかやまけんの世界」
展示構成
1章 紙芝居からの出発 こぐま社との出会いまで
紙芝居からの出発/初期作品
2章 こぐまちゃん、しろくまちゃん誕生
「おはよう」から「おやすみ」まで―日本の子どものために/そうさくのひみつ/愛され続けるこぐまちゃん
3章 絵を読む絵本「純絵本」をめざして
絵を読む絵本「純絵本」/絵本を創る 絵本創りの指導者として
4章 ひろがる わかやまけんの世界
1点で物語る(雑誌『保育の友』表紙画)
5章 1点で物語る
作家の文章によりそう/こぐまちゃんトリオ再び!/うんちはつづく
ことばを語音でたのしむ絵本/民話 日本独自の造形美を求めて/詩人とのコラボレーション
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