3月3日の「ひな祭り」などに食べるイメージがある「ちらし寿司」ですが、「ちらし寿司の日」は6月27日です。ちらし寿司にゆかりのある池田光政公の命日にちなんで、寿司食材などを扱うあじかんによって制定されました。
今回は、「五目寿司」と「ちらし寿司」は何が違うかなど、 知っているようで知らない「ちらし寿司用語」をご紹介します。
「五目寿司」と「ちらし寿司」の違い
一般的に「ちらし寿司」という場合、2つの料理を意味します。
1つ目は、調味した魚や野菜など複数の具材を酢飯に混ぜ込み、錦糸卵や海苔で飾り付けたもの。ひな祭りや七夕など、お祝い事で食べる風習があります。
2つ目は、江戸前のにぎり寿司に用いる寿司ネタを、酢飯の上に並べたもの。こちらの場合、酢飯ではないご飯を使う場合は「海鮮丼」と呼ぶのが一般的です。
1つ目のひな祭りで食べる方を「五目寿司」、2つ目の海鮮丼の酢飯版の方を「ちらし寿司」とするメーカーや店舗もありますが、地域や年代によって呼び分けは異なり、正式な定義はありません。
また、区別するために「五目ちらし」「江戸前ちらし」などの名称も使われています。
「ばら寿司」と「ばらちらし」の違い
ばら寿司とは、古くから西日本で使われている五目ちらしの別称ですが、郷土料理として確立されているものに「備前ばら寿司(岡山)」と「丹後ばら寿司(京都)」があります。
備前ばら寿司は、五目ちらしよりも多数の具材を大きめに切るのが特徴。江戸時代、藩主の池田光政公が倹約するよう「一汁一菜令」を発令するなか、それでも祭りの日などにご馳走を食べたい人々が、魚や野菜をご飯に混ぜて隠したのが始まりとされています。
このことにちなんで、池田光政公の命日である6月27日がちらし寿司の日に制定されました。
もうひとつの丹後ばら寿司は、甘く煮付けた焼き鯖か鯖缶のおぼろを使い、酢飯とおぼろで層を作るのが特徴。木箱に盛り付けたものを、四角く切り分けて食べます。
日本遺産である「丹後ちりめん回廊」の構成文化財にも認定されています。
これらの「ばら寿司」と間違えやすい「ばらちらし」ですが、こちらは細かく切った寿司ネタを、酢飯の上に散らすように盛り付けたもの。まったくの別物です。
ばら寿司は五目ちらしの系譜、ばらちらしは江戸前ちらしの系譜といえるでしょう。
ちらし寿司のルーツは武士のやっかみ?
ちらし寿司(五目ちらし)の発祥は、鎌倉時代の岡山県とされています。
酔っぱらった武士が、川舟の船頭だけに振る舞われていた五目飯をやっかみ、酸っぱくなったどぶろくを釜にぶちまけたことで生まれたとされるのが、郷土料理の「どどめせ」(どぶろく飯のなまり)です。
この「どどめせ」が先述の備前ばら寿司の元祖とされ、全国へ広がっていったとされています。
ちなみに、江戸前ちらしの発祥はさらに後の江戸後期。寿司職人の賄いとして誕生したとされています。
このように、五目ちらしと江戸前ちらし、歴史的にみれば真のちらし寿司は「五目ちらし」の方ともいえます。
もちろん両方、おいしいですけどね!
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