デートや婚活、結婚式……恋愛や結婚にはお金がかかる。特に現代社会においては、働き方や生き方の多様化が進み、恋愛とお金に対する価値観も変容している。本連載では、これからの「恋愛とお金」について、アラサーの恋愛ライター・毒島サチコが取材をもとに考察。第5回は「カップル間のお金の貸し借り」について紹介する(第4回はこちら)。
元彼に20万円を貸したけど……
「元彼に20万円貸していたのですが、まだ返ってきていません」こう語るのは、Aさん(30歳/コンサル)だ。彼女は28歳の時、当時交際していた彼氏が仕事を辞め、転職活動中に生活費が必要だと相談してきたため、5万円を4回に分けて貸したそうだ。
「借用書などは作らなかったのですが、生活費だと言われて、仕方ないと思いお金を貸しました。ただその後、金銭的な面だけでなく、彼とは価値観が合わないな……と思って別れました。『仕事が見つかったら返す』とLINEは来たのですが、別れてからぱったり連絡が来なくなって……」
Aさんは何度も彼にお金を催促したようだが、しまいにはLINEの既読すらつかなくなってしまった。彼のマンションも何度か訪れたが、居留守を使われたという。20万円は、未だに返済されていない。
「Facebookで、彼の転職先が分かったので、最悪会社に問い合わせてみようと考えてます」
もし、彼氏にお金を貸してと言われたら? 「生活のためなら貸す」が半数
もしAさんのように、「彼氏にお金を貸してほしい」と言われたら、皆さんはどうするだろうか?タンタカが、2022年5月19~20日の期間、20~30代の独身女性300人を対象に実施し、運営メディア「お金を借りる即日融資ガイド110番」で発表したアンケート結果によると、「彼氏に遊ぶお金を貸してほしいと言われたらいくらまで貸せますか?」という質問に対し、「お金を貸さない」と回答した人が81.7%(245人)と大多数を占めた。次いで、「1万円未満 13.0%(39人)」「1万円~3万円未満 4.3%(13人)」が続く。
「彼氏に生活費を貸してほしいと言われたらいくらまで貸せますか?」という質問では、「お金を貸さない」と回答した人が、52.7%(158人)。遊びでは貸さないと決めていても、お金が必要な理由が「生活」となると、貸す判断をする人が半数近くに上る。ちなみに「貸す」と回答した人の金額は3万以下が約4割。
「返済しやすい金額なら貸せる」と考える人が多いようだ。しかし、Aさんのように、数万ずつ貸しているうちに金額が膨れ上がっていたというケースも少なくない。
一般的に交際している男女のお金の貸し借りは、「〇日までに返すね」と口約束で行われることが多いが、「貸したお金が返って来ず、そのまま音信不通になってしまった」というケースも……。
【弁護士に聞いた】恋人同士の口約束であったとしても、契約は成立
口約束で貸したお金が戻ってこない場合、請求することは法的に可能なのだろうか。男女トラブルに詳しい尾崎聖弥弁護士に話を聞いた。尾崎弁護士「お金の貸し借りは、法律上は消費貸借契約と呼ばれています。契約とは、裁判で強制できる約束のこと。契約というと難しく感じる人もいるかもしれませんが、お金を貸すこと、お金を返すことについてしっかりと約束していたならば、それが家族や友人、恋人同士の口約束であったとしても、契約は成立するのです。もしも約束したお金を返してもらえないならば、裁判をすることで、強制的にお金を返してもらうことができます。
Aさんのケースでは、20万円返してほしいとのことなので、簡易裁判所の少額訴訟という手続きを利用することができます。これは原則として1日で審理が終わるので、スムーズに進めば、すぐにお金を返してもらうことができます」
口約束だとしても、法律上は返済を迫る裁判の申し立てができるという。では、貸したお金を返済してもらうためには何が必要なのだろうか。
契約書やメールのやり取り、電話の録音が証拠になる
尾崎弁護士「裁判で勝つためには、裁判官にお金を貸したことを認めてもらう必要があります。そこで必要なのが証拠。証拠には、契約書やメールのやり取り、電話の録音、証人などがあり、これらを裁判官に提出することで『ちゃんとお金を貸しましたよ』と、裁判官を説得することができます。ただし、契約書以外の証拠では、裁判官を強く説得することはできません。多額のお金の貸し借りをする際は、しっかりと借用書を作成しておくことが大事です。借用書には、いくら貸すのか、いつ返すのか、日付、そして貸した人と借りた人の名前を書きましょう」Aさんのケースでは、借用書は作らず、LINEで元彼とお金のやりとりをしていたようだ。
尾崎弁護士「Aさんのケースでは、借用書は作っていなかったが、LINEのやりとりで、『返す』との言質は取っていたとのことですね。これも1つの立派な証拠となります。ただし、上記でご説明したように『冗談で言っただけ』とか、『しつこかったので相手に合わせた』というような反論をされると、裁判官への説得力は弱まってしまうため、安心はできません」
「会社に押し掛ける」「SNSへ書き込む」は危険!
ちなみに、Aさんは、音信不通になってしまった元彼の転職先に連絡しようと考えていた。しかし、その行為は危険だと尾崎弁護士は警鐘を鳴らす。尾崎弁護士「お金を返してくれないからといって、相手の会社に電話を掛けたり、SNSへ書き込んだりすると、名誉棄損や、業務妨害で逆に訴えられてしまう危険があります。しっかり話し合うことは重要ですが、約束を確実に守ってほしいならば、裁判をするしかありません。お金を貸すときは、最悪返してもらえなくても諦めるのか、返してもらえない場合は裁判を起こしてでも返してもらうのか、最初に決めておくのが重要です」
恋人間で、お金のトラブルになる事は多い。
大好きな恋人に「最悪返してくれなくてもいい」と、お金を貸しても恋心が消え去ったとき、血眼で返済を迫るケースも多々ある。トラブルを避けるためには、前もって借用書などを用意し、互いの信頼関係を保つことが大切だ。
とはいえ、簡単に「お金を貸して」と言えてしまう恋愛に“信頼関係”があるのかどうかは疑問だが……。
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