デートや婚活、結婚式……恋愛や結婚にはお金がかかる。特に現代社会においては、働き方や生き方の多様化が進み、恋愛とお金に対する価値観も変容している。本連載では、これからの「恋愛とお金」について、アラサーの恋愛ライター・毒島サチコが取材をもとに考察。第4回は「アラサー女性のデートに対する価値観」について紹介する(第3回はこちら)。
20代独身男性「これまでにデートした人数」0人が4割
内閣府が発表した「男女共同参画白書」で、20代の男性の約7割、女性の約5割が「配偶者、恋人はいない」と回答したことが分かった。さらに「これまでデートした人数」が0人と回答した20代の独身男性の割合は4割、20代独身女性も2割を超えている。なぜ、デートをしない若年層が増えているのか。SNS上で多く見られたのは「デートする金銭的余裕や時間がない」「デート経験だけでなく、貯金がない」といった意見だ。
「デートをしない」のではなく、「デートができない」経済状況を問題視する声が上がる一方で、筆者の周囲からこんな意見が上がった。
「恋愛の代替品」がたくさんあるから
「自分はモテるタイプじゃないし、学生時代に好きな人もいたけど、話すことも出来なかったし、近づき方も分からず……今も異性に対してそうです」こう語るのは、一度もデートをしたことがないと断言するMさん(30歳/中学校教諭)。彼女はデートをしたいと思わないのだそうだ。
「今の時代『恋愛の代替品』はたくさんあるから」
Mさんの恋愛の代替品は、BL漫画や、男性アイドルのコンサート映像。二次元に近い世界で“疑似恋愛”を楽しむことで、日々の生活が充実し、生身の異性とのデートは不要だという。
「好きなときに欲しい言葉をくれて、恋愛のトキメキ部分だけ味わえるし、『デートする必要なくない?』って。デートはコスパも悪いし」
現実の恋愛に興味がないように思えるMさんだが、意外なことに、いずれは結婚や家庭を持つことを考えているという。いざとなったら、結婚相談所を利用するつもりだ。
「子どもがほしいので、結婚はしたいけど、男性は苦手だし、デートは面倒。婚活は、親が決めた人とお見合いでもいい。どうなるか分からない人とデートを重ねるのは効率的じゃないし、“結婚を見据えて”交際したい。それってデートというよりお互いの“見極め期間”みたいな気がするけど」
恋愛は「コスパが悪い」「効率的じゃない」
Mさんのように、男性に対する苦手意識によって、デートから遠ざかってしまったという意見がある一方で、男性への抵抗がないにも関わらず「デートを面倒」だと感じているアラサー女性もいる。「今の彼氏とは付き合うまで一度もデートをしたことがありません」
こう語るのは、Sさん(29歳/広告代理店勤務)だ。5歳年上の彼氏と、同棲して2年になる。
「元々私は、休日は、出歩かないタイプ。前日にお酒とお菓子をたんまり買って、ひとりでゲームやネットフリックスを見て過ごすタイプだったんです」
土日はメイクもしたくないし、家からも出たくないというSさんは、コロナ禍でますます外に出なくなったという。
「彼は、職場の同僚で“今日行く?”みたいなノリで、たまに仕事終わりに数人で安居酒屋に飲みに行く関係でした。ある日、みんなで飲んだときに酔い潰れて彼だけ私のマンションに来て。それから、成り行き(?)でうちに泊まるようになり、付き合うようになった感じです。今もそれは変わらず。デートとかしないです」
今も基本的に、2人でだらだら部屋ですごすことが多いというSさん。「それはおうちデートでは?」と思う人もいるだろうが、SさんもSさんの彼も、これをデートだと思ったことはないという。
「デートってお金がかかるし、いろいろ面倒。デートよりも、ぶっちゃけ土日は休みたい(笑)」
いつの時代も「3回目のデートで告白」という法則が定番だと言われているが、Sさんのようにデートらしいデートはなく、“成り行き”で付き合ったり付き合わなかったりというケースも多い。
2人に共通しているのは、いわゆる世間一般が考えるデート(おしゃれをしてお出かけしたり、食事をしたりする)を必要としていないということだ。また、SNSにも多く見られた意見同様、「デートのコスパの悪さ」を挙げている。
「デートが面倒」だから結婚した
デートに対してネガティブな印象を持っているのは、独身者だけではないようだ。先日、コロナ禍で結婚をしたTさんの「結婚理由」は、意外だった。「恋愛して、一喜一憂したり、デートをしたりするのが面倒だから」
なんと「もう恋愛やデートをしたくないから」という理由で結婚を決めたというのだ。新婚とは思えない発言に、同席した同世代の女性は驚いていたが、筆者は「なんか分かる」と思ってしまった。
デートをしたくてもできないのか、それともしたいと思わないのか
今回紹介した3人の女性は、いわゆるミレニアル世代(1980~1995年)。世代の特徴として、必要以上を所有しない(シェアリングエコノミー、ミニマリズムなど)コストパフォーマンスを重視する傾向にあるといわれている。その世代にとって、未来につながるのか分からない「デート」という行為は、最強に「コスパが悪い」行為といえるかもしれない。
今回の調査から、「そもそもデートをしたくてもできない」という日本経済の根本的な問題を提示する声が上がる一方で「デートをしたいと思わない」という声も少なくないことが分かった。
デートをしたくてもできないのか、それともしたいと思わないのか。デートは「楽しいもの」ではなく、「面倒なもの」に変わりつつあるのかもしれない。
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【参考】
・令和4年版 男女共同参画白書