空に浮かぶ「巨大なロールケーキ」この雲の正体は?
ふと空を見上げると、どこまでものびる巨大なロールケーキのような雲が……。このような不思議な雲を見かけたことはありませんか?
細長くのびるロール状の雲は、性質の異なる空気の境目である前線に伴って現れることが多く、前線付近では雨雲が発生し風も強くなります。
この雲は2022年3月27日の栃木県内で見られたものですが、関東地方ではこの日の夜に広い範囲で雨が降り、風も強まりました。
また、長さ1000km以上にも及ぶ巨大なロール状の雲は「モーニング・グローリー・クラウド」と呼ばれ、オーストラリア北部のカーペンタリア湾などで、陸から吹く風と海から吹く風がぶつかる前線に沿って、朝に発生することが知られています。栃木で見られたロールケーキのような見た目の雲も、小型の「モーニング・グローリー・クラウド」といえるでしょう。
不思議な雲は何かの知らせ?「地震雲」は本当に存在する?
ロールケーキのような形の雲のほかに、ナミナミとした形の雲を見かけたことはないでしょうか? こうした雲が見られると、「あれは地震雲ではないか!?」と話題になることがあります。
大きな地震の発生と関連付けて、不思議な雲は地震の前兆だったのではないかといわれることがありますが、雲と地震の科学的な関係は証明されていません。波のような形の雲は「波状雲(はじょううん)」と呼ばれるもので、上空の風が強く空気が波打つように上下に動くときに現れます。
波状雲のほかに、「赤く見える月」も地震の前触れや不吉なことの前兆ではないかとよくいわれます。しかし、赤い月は晴れている夜はいつでも見られるチャンスがあります。月は地平線から上った直後の低い空では赤く、空高く昇るにつれて黄色や白っぽく見えるようになるのです。
山が”笠”をかぶったような雲は何かの前触れ?
不思議な雲と地震との科学的な関連性はありませんが、ユニークな形をした雲が天気の変化を知らせてくれることはあります。たとえば、山が笠をかぶったような形をした「笠雲(かさぐも)」は天気が崩れる前触れとして知られています。
特に富士山に現れる笠雲は、日本海を低気圧が進み、上空で湿った風が強く吹くときに発生しやすいため、笠雲が見られたら次第に雨が降り出すことが多いのです。
笠のような不思議な形の雲になる理由は、湿った強い風が山にぶつかると空気の流れが変化するためです。山の風上側では、空気が持ち上げられ、上空で冷やされることで雲が発生します。反対に風下側で空気が地上に向かって下るときには、暖かくなるため雲が消えます。このため、山頂にのみ雲が発生し、笠をかぶったような形になるのです。
まだある、天気「下り坂」のサインはこの雲!
小さな丸い粒状の形をして並ぶ雲は「うろこ雲」や「ひつじ雲」と呼ばれ、秋によく見られますが、これらの雲も天気が下り坂に向かうサインです。どちらも西から雨を降らせる低気圧や前線が近づいているときによく見られます。
うろこ雲やひつじ雲が見られたら、お住まいの地域で雨の予報になっていないか天気予報をチェックしてみてください。
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