無印良品の大ヒット商品「キンパ」は、なぜひと口大にカットしてあるの? 開発担当者を直撃!

年末企画「2021年に売れた人気商品」と題し、All About編集部が選んだ注目商品を紹介。今回はSNSなどでも人気爆発、入手困難が続く無印良品の冷凍食品「キンパ(韓国風のりまき)」をピックアップ。開発担当者へ商品化のきっかけやこだわりなどを聞きました。

無印良品の冷凍食品「キンパ(韓国風のりまき)」1本(8切れ)税込490円
無印良品の冷凍食品「キンパ(韓国風のりまき)」1本(8切れ)税込490円


2021年のヒット商品といえば、何を思い浮かべますか? All About編集部では、年末企画「2021年に売れた人気商品」と題して、編集部が選んだ注目商品を紹介していきます。今回は、無印良品が発売した冷凍食品の「キンパ(韓国風のりまき)」です。
 

無印良品のヒット商品「キンパ(韓国風のりまき)」とは

無印良品は2018年9月末に、初めて冷凍食品を発売しました。現在では90弱のアイテムを取り扱う中、「キンパ(韓国風のりまき)」は発売当初からラインナップされています。その人気ぶりはすさまじく、欠品が相次いで各種SNSでも「無印良品の幻のキンパ」と話題沸騰。ワンコインでおつりがくる価格設定も好評を博しています。
 

そんな無印良品のキンパは、どのような経緯や工程を経てヒット商品となったのでしょうか? 良品計画の日向桃子さんにお話しを伺いました。

良品計画の日向桃子さん

 

世界の食文化に学ぶというコンセプトに沿って商品化

――最初の冷凍食品にキンパを取り上げようと思ったきっかけは何ですか?

 無印良品では冷凍食品に限らず、世界の食文化に学ぶというコンセプトで商品開発をしています。カレーやごはんにかけるおかず、煮込みシリーズも含めて共通するコンセプトです。冷凍食品ではキンパの他に、おいなりさんやサムゲタンも展開しています。
 

 韓国では、遠足に持って行ったり屋台で売られていたりと、キンパは一般的に食されています。よく食べられているメニューとしてラインナップの候補に挙がりました。

あらかじめひと口大にカットしてあるため、切る手間がなく食べやすいのが特徴。
あらかじめひと口大にカットしてあるため、切る手間がなく食べやすいのが特徴。

 

ひと口大にあらかじめカットしてあるのがこだわり

――開発にあたり難しかった点やこだわった点はありますか?

 のり巻きは日本でも太巻がありますし、キンパはデパ地下などでも売られています。今回あえて冷凍食品として出すということで、解凍して食べること、ごはんをアツアツではなく食べることに難しさはありました。
 

 食べやすさにもこだわっています。ひと口でつまんで食べられるように、あらかじめカットしてあるのが1つのポイントです。のり巻きをお家で作ると、切るときにごはんが包丁についたり、形が崩れてしまったりと難しいことが多い。そこが手間になるので、シェアしやすさも含めて、切っておいたほうが良いのではないかという結論に至りました。
 

――無印良品は食品もステーショナリーもパッケージの見た目がスタイリッシュでかわいいと人気ですが、キンパでもこだわりや工夫はありましたか?

 スーパーやデパ地下で売られている冷凍食品は、アルミで食品が包装されていて、中身はシズル感のある写真で見せるケースが多いですよね。一方で無印良品の冷凍食品は、透明で中身が全部見えるように統一しています。キンパは形状が崩れやすいのでトレイを入れていますが、極力シンプルに、包材のごみを少なくするということは考えています。

 

口コミからじわじわと広がり人気爆発

――発売後の反響についてはどうでしたか?

 最初はキンパだけが急に売れたわけではなく、無印良品が冷凍食品を取り扱ったこと自体が珍しかったのかなと思います。当初は販売店舗が4店舗しかなかったのですが、爆発的に売れている商品として突出したものはありませんでした。
 

 キンパは2018年の年末くらいから、気付いたららじわじわと人気になっていったように思います。SNSで話題になり口コミ的に広がって、テレビでもちょっとずつ取り上げられてから急に売れ出しました。年明けに冷凍食品総選挙のテレビ取材を受けた際に売上ベスト10を出したのですが、現在のようにキンパが圧倒的1位という状態ではなかったことを覚えています。

 

冷凍食品やフリーズドライのスープと合わせるのがオススメ

――キンパと合わせて食べるのにオススメの食品を教えてください。

 親和性を考えると韓国料理がいいと思います。冷凍食品であればサムゲタン、カムジャタン、煮込みシリーズやスープとの相性が抜群です。フリーズドライのスープでも、コムタンスープやユッケジャンスープが出ていますので、キンパを解凍している間にスープにお湯を入れて、軽めのランチにするのもオススメです。フリーズドライは4食分入っているので、2人で分けてもお召し上がりいただけるのかなと思います。

 

冷凍食品に新アイテムを追加していく予定

――今後の生産計画について教えてください。

 当初の4店舗から販売店舗数が増えるにつれて製造数量も上げていますが、計画以上に人気が出たので、結局入荷したらすぐなくなるというようなことが続いています。それでも少しずつ生産数量は上げられるようにやりくりはしていっていますが、店舗数も100店舗を超えてきているので、まだ足りているとは言い難い状況です。冷凍食品自体には欠落しているカテゴリー群があるので、新しいアイテムを徐々に追加していく予定です。

 

――ありがとうございました。

人気が続き手に入りにくい、無印良品の幻のキンパ。店頭で見かけた際はぜひゲットしてみてくださいね。



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