2021年に、読んでよかったビジネス本を3冊紹介します。仕事だけではなく、日常生活にも役立つ本なので、ぜひチェックしてみてください。
(1)『結局、「しつこい人」がすべてを手に入れる』伊庭正康(アスコム)
「しつこさ」の重要性や、それによって達成できる可能性について解説された本。「しつこい」という言葉を聞くと、ネガティブなイメージを思い浮かべるかもしれません。しかし、「地道に継続する」といった言葉に言い換えるとポジティブに捉えられます。
世界的な経営者であるスティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾスは「しつこさ」の重要性について語っています。しつこさはスキルの1つとして重要な要素です。また、知能レベルと功績の関係性は希薄で、粘り強さのほうが成功を収める上で重要だと心理学的な観点から総括されています。このことから、誰もがしつこさによって大きな成果を得られる可能性を秘めています。
「頑張る」とは異なり、「しつこさ」を持続させるにはコツが必要です。本書では「TKKの法則」に従えば、簡単に習慣化できるとのこと。TKKのTは「たのしくする」、最初のKは「かんたんにする」、次のKは「こうかを確認する」ことを指しています。
「しつこさ」を続けるには物事を楽しくすることが大切です。Tでは、「must」を「will」の状態に転換することが示されています。「やらされ感」ではなく「自分ごと」として物事を捉えるよう意識することが重要です。
次に、最初のKの具体例としては、「フォーマットを作る」「手間を省く」「判断を減らす」ことが挙げられています。フォーマットの例としては、スティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグがいつも同じ格好をしていること。無駄なエネルギーを使っていません。
手間を省く例は、音声入力を使ってメールを返信することなどが考えられます。判断を減らすことについては、例えば「水曜日の夜は必ずジムに行く」などと条件反射的にTo Doを決めること。いちいち悩む必要がなくなります。
最後のKの例としては、成果をグラフ化して見えるようにすることです。現状把握が可能になるだけではなく、自己肯定感を高めることにもつながります。
本書には、より詳しいノウハウや、しつこくなるためのマインドセットについて解説されています。「しつこさ」を身に付けて成果を発揮したい人にうってつけです。
(2)『HAPPY STRESS (ハッピーストレス) ストレスがあなたの脳を進化させる』青砥瑞人(SBクリエイティブ)
カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)を飛び級で卒業した著者による、ストレスをテーマとした本です。
ストレスには2種類あります。「ダークストレス」と「ブライトストレス」です。ブライトストレスは人を成長させる味方となる一方で、ダークストレスは心にダメージを及ぼす恐れがあります。そのため、ダークストレスを和らげつつ、ブライトストレスとうまく付き合う技術などが解説されています。
ダークストレスもブライトストレスも、根本的には同様のストレス反応を示します。脳の使われ方によっては、いずれのストレスにもなり得るようです。ダークストレス対策の味方として、副交感神経を働かせることも重要です。泣いたり長く息を吐いたりする具体的な方法が紹介されています。
また、モチベーションに影響を与えるノルアドレナリンとドーパミンの分泌バランスが、ダークストレスとブライトストレスを分ける要因とのこと。いずれも適度に作用している状況が好ましいことが分かっています。そのため適度にプレッシャーのある環境で、いかにドーパミンを誘発させるかがパフォーマンスを高める上で重要です。
ドーパミンを誘発させる環境作りには、音楽を聴いたり好きな空間で作業したりして心地よくすることが大切。「ストレスにはポジティブな要素がある」ということを知ることで分泌されるDHEAも、ブライトストレスを促すのに役立つとのことです。
科学的な視点からストレスを味方につける方法について、イラストを交えて分かりやすく解説されています。コンテンツは充実しており、ここで紹介したのはほんの一部です。ストレスを武器にしたい人におすすめします。
(3)『「後回し」にしない技術』イ・ミンギュ(文響社)
後回しにせず、「すぐにやる人」になる技術を解説した本。スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツといった経営者は、アイデアだけで成り上がったわけではなく、実際に行動したことで成功しました。いくら卓越したアイデアを持っていても行動に移さなくては意味を成しません。
本書では、実行力を身に付けるための手順を「決心」「実行」「維持」といった3段階に分けて解説しています。
まず「決心」の段階で重要なのは、公に宣言することです。友人に話したりSNSで公開したりするのも有効でしょう。次に「実行」のフェーズでは、小さなことから始めることが重要です。また、「開始デッドライン」と「終了デッドライン」の2つの締め切りを設けることが効果的。締め切りは緊張感をもたせる効果が期待できます。
最後の「維持」段階では、人間はセルフイメージ通りになるということを意識しましょう。つまり、実行力のある理想の自分を思い描くとその通りになる可能性が高まります。ついつい作業を後回しにしてしまう人にぴったりです。
以上、2021年のベストビジネス本を3冊ピックアップしました。何を読んだらよいか悩んでいる人は、手に取ってみてはいかがでしょうか。
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