桜蔭中学校(2020年)
(7)角幡唯介『エベレストには登らない』 (小学館)
探検家であり、ノンフィクション作家でもある角幡唯介の作品。アウトドア雑誌『BE-PAL』(小学館)の人気連載がまとまった一冊です。極限の世界に挑む探検家は、どんなことに悩み、迷いながら前進しているのか。目標に向かって頑張るすべての受験生に響きそうな言葉が綴られています。
(8)まはら三桃『思いはいのり、言葉はつばさ』(アリス館)
中国・湖南省に実際に伝承されてきた文字「女書」がテーマ。なぜ女だけの文字を作らなければならなかったのか。現代とは違う世界観でも、入り込める力が求められているような文学作品です。女性ならではの楽しみや辛さ、生き方を問うストーリーは、大人の女性でも感動すると話題です。
豊島岡女子学園中学校(2020年)
(9)湊かなえ『ブロードキャスト』(KADOKAWA)
ブロードキャストとは、放送という意味の英語。人気作家、湊かなえの新境地と話題になった『ブロードキャスト』は、放送部が舞台になった青春小説です。中学時代に陸上で全国を目指していたものの高校で陸上を断念、放送部に入った主人公の青春。コミックにもなりました。
(10)鷲田清一『濃霧の中の方向感覚』(晶文社)
同じ年、豊島岡女子学園中学校で出題された『濃霧の中の方向感覚』。青春ストーリーと対比するようなテーマ、本物の知性や教養とは何かを問う重厚な内容となっている一冊。濃霧の中でも道を見失わずにいられる「方向感覚」を身につけてほしいという学校からのメッセージなのかもしれません。
浦和明の星女子中学校(2020年)
(11)立川吉笑『現在落語論』(毎日新聞出版)
1965年に落語家・立川談志が書きおろし、今でも多くのファンを魅了する落語論。それを『現在落語論』として孫弟子の吉笑が2015年に書いた本がこちら。伝統と新しさがミックスされた落語の魅力がこれでもかと詰まった一冊です。
(12)ささきあり『天地ダイアリー』(フレーベル館)
主人公は中学1年生。スクールカーストの下層、栽培委員会、そんな自分を守るためにマスクをしないと学校に行けない男の子の成長を描いた物語。クラスでの立ち位置や人間関係などで悩みがちな年頃の女の子には共感できる内容かもしれません。
毎年、レベルの高い受験生が集まる人気の女子中学校で出題された本は、どれも興味深いものばかり。高い読解力や共感力が求められる内容も多いので、時間があるときに一度は触れておきたいですね。中には読書感想文の題材として書きやすそうな文学作品も。夏休みに入手してみてはいかがでしょうか。
【関連記事】
・難関中学で出題された本 厳選12冊【2021年度男子校編】
・難関中学で出題された本 厳選10冊【2020&2021年度共学校編】
・難関中学に合格した子たちはこんな本&漫画を読んでいた!