日経BPは4月9日、「トレンドマップ 2021上半期」を発表しました。変化が激しく、様々なバズワードが飛び交う、技術、マーケティング、消費の3分野。トレンドマップとは、この中から中長期的に注目すべきトレンド(潮流)の見極めを目的とし、各分野の専門家の知見を集約して作成されたものです。分析結果は、「現時点での経済インパクト」と「将来性」の2つのスコアでマッピングしています。
新型コロナの拡大が始まってから約1年。「トレンドマップ2021上半期」調査は、首都圏を中心として2度目の緊急事態宣言が発令されていた21年2⽉後半から3⽉上旬に実施しました。
2020年夏に比べてスコアを伸ばしたキーワード「量⼦コンピューター」
前回の2020年夏調査と比較し、将来性スコアが最も伸びたキーワードは、技術分野では「量⼦コンピューター」でした。
技術分野で「EV」が伸長、背景に「カーボンニュートラル」
「電気自動車(EV)」は将来性、経済インパクトともに大きく伸長。菅首相が21年1月に行った施政方針演説で、「35年までに新車販売で電動車100%を実現」することを明言したことが大きく影響していると見られます。
ドイツのフォルクスワーゲンや米ゼネラル・モーターズ(GM)、スウェーデンのボルボ・カーなど、欧米勢はこぞって「EV全面シフト」を戦略の柱に掲げています。国内市場では、トヨタ⾃動⾞が20年6⽉に発売した新型プラグインハイブリッド⾞や、20年10月発売のホンダ初の量産EVが支持を集めるなど、確かな需要を伴って普及の兆しを見せています。
また、EVへの関心の高まりの背景にあるのが、新キーワードとして追加した「カーボンニュートラル」。「カーボンニュートラル」とは温暖化ガスの排出量を実質ゼロとすることで、日本政府は20年10月に「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」ことを表明しました。
全分野で「SDGs」関連キーワードが躍進!
マーケティング分野の「SDGs」をはじめ、消費分野でも「サステナブル消費」が将来性スコアを大きく伸ばしました。また、新たに追加したキーワードで、消費分野の「サーキュラーエコノミー」は将来性スコアが高い水準です。「SDGs」関連の取り組みは、もはや企業にとって避けては通れないもの。消費者にも響くキーワードとして期待を集めています。
マーケティング分野では、「D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」「クラウドファンディング」が、将来性スコアを伸ばしました。デジタルを通じて顧客と直接つながり、関係性を構築するD2Cブランドは、コロナ禍でネット通販の需要が高まっている中で、ベンチャー企業だけでなく大手企業の取り組みも増えており、今後さらに市場拡大が見込まれます。
消費分野では「マルチハビテーション」「ワーケーション」が将来性、経済インパクトのスコアを伸ばしました。いずれもコロナ禍による外出自粛、リモートワークが浸透する流れの中で広がった概念です。複数の住まいを行き来しながら、自分たちらしい生活を実現するライフスタイル「マルチハビテーション」も、今後浸透していく可能性を示唆しています。
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