11月3日、「第51回全日本大学駅伝対校駅伝競走」(以下、全日本大学駅伝)が熱田神宮~伊勢神宮の全8区間106.8kmで行われ、最終8区で逆転した東海大学が16年ぶり2回目の優勝を果たしました。
 

今回の全日本大学駅伝は出場校の実力が拮抗しており、レース前から優勝争いが激しくなると予想されていました。その予想通りとなった白熱の一戦を制したのは東海大学。2位は後半区間で一気に追い上げた青山学院大学、3位は7区・8区の長距離区間で追い上げた駒澤大学、4位は初出場の東京国際大学、以下、5位東洋大学、6位早稲田大学、7位に出雲駅伝覇者の國學院大学、8位に帝京大学が入りました。以上の8校は第52回全日本大学駅伝のシード権を獲得しました。
 

ここでは、シード権を獲得した各校の戦いぶりとレース全体を振り返ります。
 

シード権を獲得した各校の戦いぶりは

●1位:東海大学

出雲駅伝では本調子でなかった主力の阪口竜平選手、鬼塚翔太選手(共に4年)を今回は外し、「もうひとつの出雲駅伝」で活躍した小松陽平選手、郡司陽大選手(共に4年)を起用し、注目が集まりました。結果、小松選手は1区3位、郡司選手は6区区間賞と起用に応えました。また初駅伝だった名取僚太選手(3年)が8区で区間2位と結果を残し、長距離区間でのメドが立ったことも、箱根駅伝に向けて大きな収穫だったのではないでしょうか。
 

●2位:青山学院大学

全区間で区間1桁をマークするなど、大きなミスがなくレースを進めた印象です。中盤までは優勝争いのポジションにはいなかったものの、6区区間3位の中村友哉選手(4年)で7位→3位までジャンプアップ。7区区間2位の吉田圭太選手(3年)で一時トップに立つなど見せ場も作りました。主力の足並みが揃っていないことや、今年は早くから箱根仕様のトレーニングをしているといわれており、これらを加味すると、箱根駅伝ではここから立て直すのではないでしょうか。
 

●3位:駒澤大学

優勝候補の声も聞こえていた駒澤大学は3位。中盤までは先頭争いになかなか絡めずにいましたが終盤4区間で追い上げを見せました。圧巻はエースが集った7区で区間賞の田澤廉選手(1年)。今回は8位から追い上げる走りでしたが、もし先頭集団で走っていたら、どういう走りをするのだろう、と、期待を持たせる走りでした。8区山下一貴選手(4年)も区間3位の好成績。出雲駅伝に引き続き起用された小林歩選手(3年)も2区区間5位と、再び結果を残しました。終始苦しそうな顔をしながらも粘れる姿は「駒澤向きの選手」という印象を持ちました。
 

●4位:東京国際大学

初出場ながら4位に食い込みました。10月26日に行われた箱根駅伝予選会でも快走した伊藤達彦選手(4年)が2区区間賞を獲得し、14位→1位へジャンプアップ。その後も真船恭輔選手(4年)が6区区間4位で走るなど、シード圏内をキープし、8区ルカ・ムセンビ選手(1年)が区間賞を獲得し、4位でゴール。箱根駅伝ではエース2名で貯金を稼ぎ、難所の5区・6区にメドが立てば、いよいよシード権に手が届くでしょうか。
 

●5位:東洋大学

東洋大学は3区相澤晃選手(4年)が区間2位に55秒差の大差をつけて区間賞を獲得するなど、5区途中まで先頭を走り、このまま逃げ切るか、と思わせる展開でしたが、5区・6区でやや失速し、5位でゴール。しかし、7区区間2位の定方駿選手、長い故障から復活した1区区間5位の渡邉奏太選手(共に4年)らの活躍は、明るい材料ではないでしょうか。
 

●6位:早稲田大学

前年の全日本大学駅伝15位、今年の箱根駅伝12位、箱根駅伝予選会9位と悪い流れが続いていましたが、3年ぶりのシード権を獲得しました。箱根駅伝予選会が10月26日に行われたばかりで、疲労の面も心配されましたが、1区以外を区間1桁順位でまとめるなど、名門校はここで立て直してきました。予選会でふるわなかった千明龍之佑選手(2年)が4区区間3位の好走、予選会欠場の中谷雄飛選手(2年)、新迫志希選手(4年)の復帰も明るいニュースとなりました。
 

●7位:國學院大学

出雲駅伝を制し、今回も優勝候補に名乗りをあげていましたが7位。浦野雄平選手(4年)を当日変更で2区に起用。区間4位の成績で12位→4位まで浮上しました。また、青木祐人選手(4年)が5区区間賞を獲得するなど一定の見せ場は作りましたが、7区でやや失速。出雲駅伝同様に逆転を狙った8区土方英和選手(4年)がスタートする時点でトップと約3分差となっていました。それでも4区4位中西大翔・6区5位中西唯翔選手(共に1年)が大崩れしないなど、一定の成果は得られたのではないでしょうか。
 

●8位:帝京大学

最後までもつれたシード権争いでしたが、9位順天堂大学を8秒差で退け、シード権獲得。主力の複数欠場に加え、2区終了時で16位と大苦戦も、選手層とロング区間の適正を見せつけました。ここから箱根駅伝へ向けて巻き返すためには主力の遠藤大地選手(2年)、島貫温太選手(4年)の復調・復帰が待たれるところです。
 

学生陸上界は「戦国時代」の幕開け?

序盤から目まぐるしく先頭が変わり、城西大学、順天堂大学はシード権こそ逃しましたが、レースを大いに沸かせました。立命館大学も終盤、シード権争いに絡むレースをしました。東京国際大学も終始上位でレースを進め、8区次第では初出場・初優勝なるか?という期待を持たせました。
 

かつての常連校や名門校だけでなく、新鋭校も力をつけており、学生陸上界は実力が拮抗しているといえるでしょう。
 

優勝した東海大学は主力選手不在でもこの強さを見せ、箱根駅伝連覇が近づいた、との声も聞こえてきます。しかし前回も箱根駅伝5連覇は不動と思われていた青山学院大学が2位になったように、箱根駅伝では何が起こるかわかりません。
 

箱根駅伝はすべての区間の距離が20km以上となり、総距離も2倍になるため、全日本とは別物と思ったほうがいいでしょう。東海大学が連覇なるか、他の学校が阻止するのか。目が離せません。