恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第38回

E5系の運転体験も!7月5日オープン「鉄道博物館新館」のみどころ

鉄道博物館(さいたま市)は2017年10月で開館10周年を迎えた。さらなる発展をめざして館内のリニューアルを少しずつ進めると同時に、新館を建設。2018年7月5日にオープンする、この新館の様子と見どころを紹介する。

鉄道博物館に「新館」が誕生!

新館
新館の外観

鉄道博物館(さいたま市)は2017年10月で開館10周年を迎えた。この年は、JR発足30周年の節目の年でもあり、さらなる発展をめざして館内のリニューアルを少しずつ進めてきた。また、館内の一層の充実を図るため、新館の建設を行ってきたが、このほど完成。7月5日のオープンに先立ち、6月26日に報道公開されたので、館内の様子と見どころを紹介しよう。
 

1階で目に留まるのは「2つの新幹線車両」

新館は4階建てで、本館の南側、大宮駅寄りにできた。1階入口から中に入ると、目に留まるのが2つの新幹線車両、「はやぶさ」などで使われているE5系先頭車と山形新幹線で活躍した400系電車先頭車のグリーン車だ。

山形新幹線400系と東北新幹線E5系
山形新幹線400系と東北新幹線E5系

400系は2010年に引退した歴史的車両だが、E5系は現役の車両なので、展示しているのは、モックアップといって実車同様に新造したもの。実物大の模型とも言える。博物館展示用なので、床下機器、保安装置などは省略されている。車内はグランクラスであるが、通常、車内見学はできない。
 

人気を呼びそうな「E5系の運転体験」

仕事ステーションの展示
仕事ステーションの展示

1階と2階の一部は「仕事ステーション」といって、運転、車掌、保線、駅員など鉄道を支える様々な仕事を知り、体験するコーナーだ。出改札の仕事体験、運転指令シミュレーション、踏切安全設備体験など様々な体験ができるけれど、やはり人気を呼びそうなのは運転体験用の新幹線E5系シミュレータであろう。東北新幹線の展望映像を見ながら、最高速度320km/hでの運転を体感できる。
 

E5シミュレータ
E5シミュレータ

従来、本館1階にあった在来線シミュレータも、こちらに移設の上、リニューアルされ、さらにE233系シミュレータも新設された。なお、E5系は1回15分で500円、在来線シミュレータは無料だ。
 

鉄道の「過去」「未来」を体験できるコーナーも

未来ステーション
未来ステーション

2階にある「未来ステーション」は、想像される未来社会と未来の鉄道をアニメーションで疑似体験する展示だ。まず、入口に置いてある新・来館記念カード裏面のQRコードを機器に読み取らせ、自分の顔を撮影して自分そっくりの分身(アバター)を作る。その後、展示の指示に従って未来の鉄道体験をするという「創造体験型」のユニークなコーナーである。アイデア投稿機もあり、ただ見学するだけではなく、能動的な行動をすることになる異色の「ステーション」と言える。
 

歴史ステーション
歴史ステーション

3階の「歴史ステーション」は、一番博物館らしいコーナーであろう。幕末の鉄道開業前から明治、大正、昭和、国鉄民営化、現在にいたるまでを、充実した展示で構成している。秘蔵の資料や写真も多数あり、内覧会の短い見学時間では細部に至るまで詳細に知ることは叶わなかった。オープン後、個人的に再度訪問し、時間をかけて見学したいと思う。
 

4階のビューレストランは絶好の撮影スポット!

ビューレストラン
ビューレストラン

4階には「ビューレストラン」がある。解放感のある広いスペースで、何と言っても脇を走る東北・上越・北陸新幹線を眺めながら食事ができるのが魅力だ。
 

トレインテラス
トレインテラス

新幹線の線路と反対側には、展望スペース「トレインテラス」が設置された。室内にあるレストランを出ると、屋外にベンチとテーブルがある。そこで、各自が持ち込んだお弁当を食べながら、在来線(高崎線、埼京線)および大宮総合車両センターの試運転線を走る様々な車両を眼下に見ることができる。鉄道ファンにとっては、絶好の撮影ポイントの誕生となった。

トレインテラスから貨物列車を撮影
トレインテラスから貨物列車を撮影


また新館南側には「てっぱくひろば」があり、E7系スライダーやE5系をモチーフとした「ミニはやぶさ号」が運転される。こちらは、小さなお子様が喜びそうなスポットで、ファミリー向けといえる。

てっぱくひろばのE7系スライダー(滑り台)
てっぱくひろばのE7系スライダー(滑り台)

 

本館もリニューアル!入館料値上げに見合う充実ぶり

本館もエントランスをはじめ、リニューアル個所が随所にある。車両ステーションでは、展示車両の現役時代の貴重な映像が上方の壁面に大きく写し出される。また、ディーゼルカーのキハ41300形では、窓外の壁面に、現役時代走っていた小海線の車窓映像が走行音とともに写し出され、さながら走っているような錯覚にとらわれる。

キハ41300形車内では動く車窓が現われる
キハ41300形車内では動く車窓が現われる

このように、工夫を凝らした新たな演出が随所に見られるので、これまで何度も訪問した人でも思いがけない発見や楽しみが見つかることだろう。新館オープンを機に、入館料は1000円から1300円(小中高生は500⇒600円、幼児は200⇒300円)に値上げされるけれど、それに見合った充実ぶりだ。夏休みに、ゆっくり出かけたいものである。
 

取材協力=鉄道博物館

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