恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第32回

伊豆観光列車「THE ROYAL EXPRESS」でどんな旅ができる?

東急電鉄は4月16日、傘下の伊豆急行を経由して横浜~伊豆急下田間で走らせている観光列車「THE ROYAL EXPRESS」で報道発表を行った。幸い参加することができたので、THE ROYAL EXPRESS の旅をレポートする。

「THE ROYAL EXPRESS」の旅を体験

河津駅に停車中のTheRoyalExpress
河津駅に停車中の「THE ROYAL EXPRESS」

東急電鉄は4月16日、傘下の伊豆急行を経由して横浜~伊豆急下田間で走らせている観光列車「THE ROYAL EXPRESS」で報道発表を行った。この日発表されたのは、3号車マルチカーで開催中のデザイン展についてと、車中で提供される食事の2018年春メニューについてで、横浜から伊豆急下田まで列車を走らせながらの発表となった。幸い参加することができたので、THE ROYAL EXPRESS の旅をレポートする。
 

集合場所も旅の期待を高めるに十分なインテリア

横浜駅のRoyal-cafe
横浜駅のROYAL CAFE

報道公開は、実際の旅の手順に従って行われた。THE ROYAL EXPRESSに乗車する人の集合場所となっている横浜駅構内の「THE ROYAL CAFE YOKOHAMA」に集合。列車のデザインを担当した水戸岡鋭治氏が設計しただけあって、車内と同じ雰囲気なので、旅の期待を高めるに十分なインテリアだ。最高級のクルーズプラン参加者のみが利用できる豪華な「THE ROYAL LOUNGE」も、特別に公開された。
 

クルーズプラン参加者専用のRoyalLounge内部
クルーズプラン参加者専用のROYAL LOUNGE内部

実際の旅と同じく、スタッフに先導されて、JR横浜駅7番ホームへ。高貴な青を身にまとったTHE ROYAL EXPRESSは、すでに停車中で、ドア前に敷かれた絨毯を踏みしめながら車内へ入る。席につくと、アテンダントさんがウエルカムドリンクを持って挨拶に来た。一応「仕事」なのでアルコール飲料ではなく、冷たい緑茶。といっても静岡産の高級なものでグラスに入っていてゴージャスな気分が味わえる。
 

3号車のマルチカーで開催中「デザイン展」とは?

3号車のデザイン展
3号車のデザイン展

まずは、3号車のマルチカーに移動。パーティやミニコンサートも行える多目的空間だ。目下、2カ月に1度模様替えをして展示会を行っている。今回は、ザ・ロイヤル・エクスプレスデザイン展と称して、水戸岡鋭治氏が列車の完成に至るまで製作した様々なデザイン・イラスト――ロゴマークやグッズ、椅子の生地、各号車の完成予想イラストなど――を紹介していた。車窓を眺めることができない車両なので、停車すると列車内とは思えない雰囲気である。
 

静岡産の食材をふんだんに使った料理の数々

席に戻ると、食事が運ばれてきた。クルーズプランとプラチナクラス向けのコース料理、ゴールドクラス向けの2段重が、それぞれ横浜発の列車用、伊豆急下田発の列車用と用意されているので、都合4種類もある。とてもすべて食べきれる量ではない。
 

山田チカラ氏監修のコース料理(横浜発の列車用)
山田チカラ氏監修のコース料理(横浜発の列車用)

横浜発の列車ということで、コース料理を選択。横浜発のコース料理を監修したのは、東京・麻布のオーナーシェフで静岡出身の山田チカラ氏。駿河湾産桜えびと静岡産タケノコのおすましのアミューズ、静岡産さざえなどを使った前菜など伊豆を中心とした静岡産の食材が使われているのが特徴だ。メインディッシュのオックステールの赤ワイン煮込みは柔らかくまろやかで極上の味わい、デザートの静岡いちごと丹那牛乳アイスのパルフェに至るまで、アテンダントさんの説明を受けながらの優雅なランチタイムだった。

河野美千代氏監修のコース料理(伊豆急下田発の列車用)
河野美千代氏監修のコース料理(伊豆急下田発の列車用)

伊豆急下田発の列車で提供されるコース料理は、JR九州「ななつ星in九州」の食をも担当する大分の河野美千代氏が監修した。すでに満腹だったので、つまみ食い程度だったが、下田産金目鯛やエビを使った「黒船蒸し」は個性的で味わい深い料理だった。
 

食事をしている間に、列車は熱海からJR伊東線に入る。トンネルが多いけれど、その間から入江が望める。伊豆の海や移りゆく緑豊かな自然を眺めながらの食事は格別である。
 

水平線の彼方に伊豆大島を見ることも

1号車では前面展望が楽しめる
1号車では前面展望が楽しめる

伊東駅で乗務員が交代。これより伊豆急線に入る。やっとホームグラウンドに戻った感のある列車は、JRの列車に遠慮することなく堂々と進む。
 

大迫淳英氏演奏のミニコンサート
大迫淳英氏演奏のミニコンサート

ここで再び3号車マルチカーへ。THE ROYAL EXPRESSのテーマを作曲し、列車の音楽をプロデュースするバイオリニスト大迫淳英氏によるミニコンサートが開かれた。ピアノ伴奏のもと「愛の挨拶」「ヴィヴァルディの四季より春」「みかんの花咲く丘」を演奏し、「THE ROYAL EXPRESSのテーマ曲」で締めくくった。美しい響きは食事とともに列車の旅に彩りを添える。大迫氏は「ななつ星」の車内でも演奏しており、「列車内で世界一長時間生演奏を繰り広げる音楽家」としてギネスに申請してもいいのではないか、との声もあるほどの活躍ぶりだ。

The Royal Express の車窓から
THE ROYAL EXPRESSの車窓から

伊豆高原駅を過ぎ、列車は伊豆急沿線で唯一と言ってもいい海岸線沿いを走る絶景区間に差し掛かった。徐行し、景勝地点では一旦停止するサービスぶりだ。幸い水平線の彼方に伊豆大島を見ることができた。
 

河津駅では10分停車。唯一ドアを開けてホームへ降りることができる。列車の写真を撮ったり、地元の人が歓迎して記念品を配ってくれる。河津桜が満開になる早春の頃に、大いに盛り上がることですっかり有名になった。
 

魅力的な鉄道旅。3泊4日のプランも登場

伊豆急下田駅での歓迎
伊豆急下田駅での歓迎

横浜を出て3時間あまり。特急「スーパービュー踊り子」なら2時間ほどで到着してしまうところ1時間余分にかかるゆったりした行程だったが、長さを全く感じさせない魅力的な旅だった。伊豆急下田駅のホームでは旅館の女将さん達の歓迎を受け花束をプレゼントされた。丁寧なおもてなしをしていただいたアテンダントさん達の見送りを受けて旅は終わった。
 

伊豆急下田駅ではハイヤーがお出迎え
伊豆急下田駅ではハイヤーがお出迎え

駅前ではクルーズプランのお客様用のハイヤーが待ちかまえている。次回は、ゆっくりと温泉旅館に滞在したいものだ。なお、クルーズプランとしては、これまで1泊2日のものが3種類用意されていたが、今回新たに3泊4日のプランが発表された。列車のみならず、修善寺や西伊豆をも巡る伊豆半島1周プラン、横浜での観光もおまけにつく。2名1室ひとり38万5000円と高額ではあるけれど、贅沢な旅を楽しみたい人にはおススメのコースである。

お世話になったクルーのみなさん
お世話になったクルーのみなさん

ファミリー向けのゴールドコースからプラチナコース、クルーズプランまで多様な行程が用意されているTHE ROYAL EXPRESSの旅。ますますの充実ぶりに目が離せない。
 

取材協力=東急電鉄、伊豆急行
 

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