国交省の「ミラーレス化」解禁発表から1年……

1年前の2016年6月、国土交通省から「バックミラーなどに代わるカメラモニタリングシステムの基準を整備する」と発表された。いわゆる「ミラーレス車」の解禁だが、まだミラーレス車両は発売されていない。いつ頃から市販化され、またどんなメリットがあり、あるいは短所もあるのだろうか。
 

2017年内にもミラーレス車両が登場する!?

ここ1年程前からレクサスやBMW、テスラなどがコンセプトカーを披露し、ミラーレス車の発売も近い!? という噂があるが、現時点ではまだ発売されていない。しかし、先般開催された「人とくるまのテクノロジー展」で、ミラーレスに関する技術展示や実証実験中の様子が報告されていたのでご紹介したい。
 

ミラーレス車両は2017年秋に開催される東京モーターショーに展示するメーカーもあるだろうし、今年中に発表、発売するメーカーもあるかもしれない。現時点ではいつ発売されるかは憶測の域を出ないのだ。
 

後方から迫る車両が「透けて見える」

ミラーレス(サイドミラーやバックミラーがないこと)の最大の利点は、ドライバーから死角になっていた斜め後方などにいる車両やオートバイ、自転車、歩行者などを室内のディスプレイに映し出すことで、「見える化」できること。
 

「人とくるまのテクノロジー展2017横浜」の東芝ブースでは、実証実験の様子を動画で公開していた。自車後方から迫る車両がディスプレイで視認できるだけでなく、自車と後方車両が重なっているようなシーンでも後方車両が「透けて見える」から容易に確認できる。

ミラーレス
「自動運転」にも欠かせないミラーレス化。写真は東芝の実証実験の様子

死角も見える
真後ろはもちろん、斜め後方の死角にいるクルマまで透けて見える

自転車もうつす
車両後方にいる自転車も映し出している。後退時にも威力を発揮する

 

ミラーレスで狭い道でのすれ違いもしやすく

現在、ドアミラーの付け根や前席横のピラー(柱)に配置されたインジケーターなどで後方から迫る車両をドライバーに知らせる機能が実用化されていて、高級車以外にも急速に普及しつつある。
 

しかし、警告灯の点滅や点灯よりも、ディスプレイを通して後方車両などが見えるのは大きな利点だ。
 

ほかにも、エクステリアデザインの自由度が高まり、ドアミラー由来の風切り音低減、あるいは空気抵抗の低減なども期待できるだろう。狭い道ですれ違いがしやすくなり、狭い駐車場でドアミラーをたたむ必要もない。
 

長時間の「注視」対策や慣れるまでの時間に課題

課題はまだありそう。ドライバーが長時間ディスプレイを見ることは危険だ。曖昧な定義ではあるが、カーナビなどのディスプレイを「注視」すると道路交通法違反になる可能性がある(俗説では2秒程度という話もあるが、注視が何秒かは定義されていない)。
 

今までもミラーは「チラッと見る」程度であるはずで、それがディスプレイやモニターになると、長く見てしまう恐れも否定できない。
 

また、日産がすでに採用しているスマート・ルームミラー(通常ミラーとカメラ映像による液晶ミラーを切り替えられる装備)でも、あくまで個人的感想だが、ピントが合いにくくぼやけて見えるなど、慣れるまで時間を要する(暗い地下駐車場や雨天時などは便利だが)。
 

ドライバーが瞬時に処理できる情報は限られる

アメリカでは車両後方にいる子どもなどを事故から守る「Kids and Transportation Safety Act(通称KT法)」が成立していて、リヤビューカメラが必須になっている。こうした背景もミラーレス化を後押ししている要素もありそうだ。
 

リヤビューカメラ、そしてフロント、サイドなど複数のカメラの映像を合成することで、駐車時に俯瞰から見下ろしたような映像(合成画像)も日本では軽自動車にまで普及している(低速走行時の駐停車のみに限定)。車両周辺をぐるりと360度映し出したり、先述した俯瞰映像をディスプレイに映し出したりすることも可能になっている。
 

しかし、走行中にドライバーが瞬時に処理できる情報は限られているだけに、映し出す情報を取捨選択するのもミラーレス化の課題といえそうだ。

 

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