恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」 第2回

通勤に、観光に…西武鉄道の新型車両「Sトレイン」が25日に運行開始

西武鉄道の新型車両40000系「S-TRAIN(Sトレイン)」。運行開始の3月25日は土曜日。どのような特徴があるか。TJライナーとの比較を交えて解説する。

都心を縦横無尽に走り回る注目の電車

Sトレイン
西武40000系

西武鉄道の新型車両40000系。座席が通勤タイプのロングシートにも長距離旅行向けのクロスシートにもなる(この場合「S-TRAIN(Sトレイン)」と呼ぶ)というマルチタイプのすぐれもの。西武鉄道線内限定ではなく、東京メトロ有楽町線、副都心線、さらには東急東横線、みなとみらい線にも乗り入れるという、まさに都心を縦横無尽に走り回る注目の電車である。
 

25日に運行開始。26日以降は余裕あり

クロスシート
Sトレインとなるときはクロスシートでの運転となる

運行開始の3月25日は土曜日なので、土休日ダイヤとして、横浜市内の元町・中華街駅から横浜、渋谷、池袋、飯能経由で西武秩父まで2時間14分の旅となる。西武秩父発は、夕方の17時05分。秩父エリアでレジャーを終日楽しみ、横浜方面に戻るプランが考えられる。
 

全車指定席のこの列車、初日の一番列車はすでに満席だが、26日以降は、発売と同時に満席とはなっておらず、この記事の執筆段階では、まだ余席がある。一番列車に乗ると記念品がもらえるそうなので、それ目当てや「一番」が好きな鉄道ファンが殺到したと思われる。
 

元町・中華街と西武秩父を乗り換えなしに結ぶ列車は、この1往復のみで、あとは、飯能~元町・中華街が1往復、元町・中華街発所沢行きが1本と意外に少ない本数でのスタートだ。西武池袋線沿線からは、横浜での観光、ショッピングやグルメを楽しみ、夜帰宅できるようなダイヤ設定になっている。とりあえず様子を見て、需要が高まれば本数を増やしていくということなのだろう。
 

平日は一変して通勤モードに

平日は一変して通勤モードだ。所沢から豊洲まで、西武池袋線、西武有楽町線、東京メトロ有楽町線を直通運転する。今まで特急レッドアローが通過したため、特急でのゆったり通勤ができなかった保谷駅、石神井公園駅周辺の利用者にとっては有難い電車となる。
 

練馬駅(ドアは開かない)から地下に潜り、池袋は通過して、有楽町線内は、飯田橋、有楽町に停車して豊洲が終点だ。朝は所沢発6時24分発の1本だけだが、帰りの電車は、豊洲発所沢行きが3本設定されている。有楽町駅発は、17時08分、20時07分、23時07分となり、仕事帰りに一杯呑んで帰る人にも喜ばれよう。こちらも、利用客の動向を見ながら本数を増やすかどうか検討することになるであろう。
 

TJライナーの影響を受け…使い勝手が良い車内設備

クロスシートでのゆったり通勤といえば、東武東上線のTJライナーが人気で、当初は池袋を夕方から夜半にかけて発車する電車だけだったが、人気と要望に応えて朝の上り池袋行きも追加された。池袋発は13本にまで増え、18時以降30分毎の運転である。
 

電源コンセントがあるのは便利だ
電源コンセントがあるのは便利だ

TJライナーの影響を受けて造られたマルチシートの40000系は、後発であるだけに車内設備がTJライナーよりも使い勝手が良い。まずは、電源コンセントの設置。2人掛けの窓側にひとつずつあるのでスマホやパソコンの充電ができる。
 

車椅子等利用者に便利なパートナーゾーン
車椅子等利用者に便利なパートナーゾーン

トイレは大型のものが4号車にある。車椅子でも利用できるほか、おむつ交換シートもある充実ぶりだ。西武秩父までの2時間ほどの旅となるとトイレ付は安心である。池袋寄りの先頭車には、車椅子やベビーカー利用者のためのスペースがゆったり設けられているので、他人の迷惑をかけないで安心して乗車できるであろう。
 

通勤電車の新しいトレンドとなりそうな西武40000系使用のSトレイン。順調に走り続けることを期待したい。

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