東武鉄道にとって26年振りの特急新型車両

26年振りとなる東武鉄道の特急新型車両500系「リバティ」が、4月21日にデビューした。精悍なスタイルで、シャンパンベージュを主体とした配色は、JR東日本の豪華列車「四季島」を連想するが、それもそのはず、デザイン監修は、奥山清行氏が代表を務めるKEN OKUYAMA DESIGN で2つの車両のデザイナーは同じだからだ。
 

3両編成×2で浅草を出発。途中駅で分割併合が可能に

3両編成になったリバティ
3両編成になったリバティ

「リバティ」は3両編成がワンセットとなったものが2組ペアとなり、6両編成で浅草を出発する。3両ワンセットとなっているのは、途中駅での分割併合を可能とするためで、これによりきめこまかな行先が設定され、乗客は乗り換えなしで目的地までたどりつける。
 

例えば、「リバティけごん」と「リバティ会津」併結列車は、6両編成で浅草を出発し、下今市で3両ずつに分かれ、3両が東武日光へ、ほかの3両は、鬼怒川温泉を経由して会津鉄道の会津田島をめざす。
 

日光・鬼怒川・南会津エリアの活性化に貢献しそう

隅田川を渡るリバティ
隅田川を渡るリバティ。車窓からはスカイツリーが見える

従来は、鬼怒川温泉までの特急がほとんどで、その先、野岩鉄道、会津鉄道まで直通する特急は、臨時特急のスカイツリートレイン以外なかったので、会津田島まで特急が定期的に走るのは画期的なことである。会津鉄道の会津高原尾瀬口~会津田島間といえば、半世紀前は行き止まりの国鉄ローカル線で、蒸気機関車C11が走るのどかな路線だった。まさか、東京から直通の特急電車が定期的に4往復も走る時代がやってくるとは想像だにしなかった。
 

また、下今市~鬼怒川温泉間では、この8月から「SL大樹」が週末を中心に3往復する。「リバティ」に乗ってSL列車に乗り継いだり、撮影したりと、日光・鬼怒川・南会津エリアの観光を中心とした活性化に貢献しそうだ。
 

通勤特急としての役割にも期待大

「リバティ」は観光特急の役割のほか、通勤特急としてのニューフェイスでもある。夜間、それも下りのみの運転ではあるが、定期特急列車として初めて野田線(愛称アーバンパークライン)にも乗り入れる。
 

珍しい運河行き
珍しい運河行きとなった行先表示案内

すなわち、「アーバンパークライナー1号」として浅草から春日部経由で大宮へ、「アーバンパークライナー3号」として浅草から春日部まで行き、ここで分割して3両は大宮へ、3両は野田市へと向かう。さらに「1号」として大宮に到着したあとは、「アーバンパークライナー2号」として大宮発春日部、野田市経由運河行きという全区間野田線を走破する特急となる。
 

直接都心へ乗り入れる定期列車がなかった野田線にとっては待望の都心直結列車であり、ゆったりと座って帰宅できる電車は、沿線の通勤客には喜ばれるであろう。なお、通勤特急のため、運転は平日のみである。
 

車内設備も秀逸!行楽シーズンにおすすめな特急

かように、広範囲な東武鉄道のネットワークを縦横無尽に走りはじめる「リバティ」は、新型車両だけあって車内設備も秀逸だ。
 

川をイメージしたユニークな天井のデザイン
川をイメージしたユニークな天井のデザイン

車体動揺防止制御装置(フルアクティブサスペンション)を全車両に搭載しているので、乗っていても実に滑らかで快適な乗り心地だ。例えば、常磐線特急「ひたち」「ときわ」用E657系では、10両編成中、両先頭車とグリーン車の3両のみ搭載ということを考えると、全車普通車の「リバティ」は破格のサービスを提供しているとも言えよう。また、全席にコンセントを設置しているので、とりわけ通勤特急の利用者には喜ばれるであろう。
 

江戸小紋の縁起物トンボをイメージした窓間のデザイン
江戸小紋の縁起物トンボをイメージした窓間のデザイン

こうした設備面のみならず、川をイメージした天井のデザイン、江戸小紋をイメージした窓間や座席の落ち着いたデザインなど、電車内とは思えない寛げる空間は上質な旅を演出している。決して高額な料金ではないので、気楽に乗車できるのも嬉しい。大型連休、夏休みをはじめ、これからの行楽シーズンに、ぜひ利用したい特急である。

*取材協力=東武鉄道