東芝の債務超過解消は2017年度以降に…
アメリカでの原発事業を巡る巨額損失で経営再建中の東芝が、半導体事業の株式売却時期を2017年度以降に先送りする方針を固めたと報じられている。これにより、3月末時点で債務超過は解消されない見通しで、東芝は上場してから初めて東京証券取引所の第1部から第2部に降格されるとみられる。
参考:東芝、半導体売却先送り 債務超過で東証2部降格も(共同通信)
混乱を続ける東芝。東証2部へ降格されるというが、この東証1部か2部かは、どのような基準で決められているのだろうか。上場の仕組みや、1部・2部の違い、メリットに関して日本証券アナリスト検定会員の西村剛氏がAll Aboutの『東証一部と東証二部の違いとは?』で解説している。
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東証1部と2部の違いとは
西村氏によると、東証1部は大企業が上場する市場として知られているが、東証2部との大きな違いは“上場基準(審査基準)”にあるという。
東証に上場する際、株主数や流通株式数、時価総額、純資産、利益、設立年数など、ある一定の基準を満たしていることが必要となる。その基準がより厳しい市場が東証1部だという。つまり、東証が設定する厳しい基準をクリアできた企業のみが東証1部に上場できるのだ。
東証に新規上場したい企業は、まず東証2部に上場を申請する。証券取引所の審査を受け、これが認められて初めて東証2部に上場することができるのだという。そして、さらに厳しい基準を満たせば、東証1部へ1部指定(市場を2部から1部へ変更すること)が可能となる。
新規上場する際の基準の違い(All Aboutより引用)
新規上場する際は、いきなり東証1部へ上場申請することも可能だが、その際は時価総額などの基準がより厳しいため、東証2部から上場する企業が一般的だと西村氏は解説する。
また、上場するためには審査料がかかり、年間上場料も東証1部の方が高額だという。実際、厳しい基準をクリアしているにもかかわらず、1部指定の申請を行わない企業もあるのだという。
東証1部に上場するメリットは
一方、東証1部に上場するメリットはあるといい、西村氏は以下のようにポイントを挙げる。
まずは、資金調達の効率化が挙げられるという。自社の株式が東証1部で取引されるようになり、資金調達能力が増大し、企業の体質改善や充実を図ることができる。
また、企業の知名度が上がったり、新聞の株価欄で株価が掲載されるようになったりと、企業のステータスが向上することを期待できるという。
「知名度が上がることで社会的信用力も高まります。またその企業の役員・従業員のモチベーションアップにもつながるといえます。優秀な人材を確保し、業績をあげたい企業にとって、東証1部に上場するということはとても重要なことでしょう」
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