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減資することを発表した東芝(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

経営再建中の東芝は5月23日、資本金を現在の4399億円から2399億円減らすことを発表した。6月22日の株主総会に提案するという。時事通信などが報じている。これにより、資本金の取り崩しなどで、不正会計後のリストラで膨らんだ累積損失を一掃し、財務体質を改善するという。

東芝が行う減資とはどのようなものなのか。税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を持つ労務管理の専門家、渋田貴正氏がAll Aboutで説明している。

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減資の目的とは

減資とは、資本金や資本準備金を減少させる手続きのことを指す。渋谷氏は、この目的として大きく3つがあるとする。

1つは、配当を行うため。渋谷氏によると、資本金は投資家から出資を受けた元手であり、稼いだお金(これを剰余金という)をもとに行う配当の金額計算からは除外しなければならない。そのため、配当金額を増やしたい場合には、資本金の一部を取り崩して一旦剰余金に振り替えるという会計上の手続きを経る必要があるという。そのため、会社から実際に配当の形でお金が出ていくので、配当のための減資を「有償減資」と呼ぶことがあると、渋谷氏は説明する。

2つ目は、欠損填補のため。過去に赤字が続いた場合、赤字の累積額は、欠損という形で会社の貸借対照表にたまっていくため、渋谷氏は「剰余金とは逆のパターン」と説明する。欠損があると、配当額に制約が出てしまうため新たな出資を集めにくいといった事情があるという。借入の場合は、通常は、資本金と利益の累積(赤字の場合は欠損)の合計で審査される。よって、減資で資本金が減っても、その分欠損も減るので、金融機関目線では会社の財務状況は変わらない。そのため、投資家目線で見て資金調達が有利になるように、減資によって欠損をリセットすることが行われるという。

3つ目は、税金のためという。法人に関する税金は、資本金が1億円以下の場合にさまざまな軽減策が設けられている。そのため、渋谷氏は「優遇策を受けるために減資をすることがある」と説明する。2015年にシャープがこの優遇策を狙って1億円まで減資を表明して話題になった(実際は、社会的な影響などから5億円に留めた)。

欠損填補や税金のための減資は、社外にお金が出ていくわけではなく、貸借対照表上の数字が入れ替わるだけの会計上のプロセスであり、「無償減資」と呼ばれているという。この場合は、現金は全く動かず、「減資といっても、必ずお金が払い戻されるというわけではない」と渋谷氏は説明する。

減資の手続きは大変

どのような手続きが必要なのか。減資をするといっても、社長や役員会で勝手に決められるわけではなく、まず株主総会での決議が必要となる。資本金は、株主が投資した元手であり、「資本金を減らすということは、持ち主である株主の同意が必要だということは当然」とする。

さらに、銀行など金融機関や仕入れ先などの債権者に対する手続きも必要となる。渋谷氏によると、減資は配当額の増加による会社財産の流出につながる可能性があるという。もともと借入金の返済は、配当に優先して行われなければならないため、債権者が異議を申し立てられるように、事前に確認を取っておかなければならないのだという。

ちなみに、金融機関が貸付を行う際には、一定割合の資本金を積んでおかなければならないという財務制限条項という条件が付されることがあるという。減資により、即時の返済を求められる場合もありえるため、その場合は「実質的に減資はできない」と渋谷氏は説明する。

渋谷氏は、それぞれのプロセスで時間やコストが必要としたうえで、「出資者を募る増資も大変だが、減資も利害関係者への配慮が必要で、簡単にはできない」とする。

100%減資で企業再生

経営悪化により、新たなスポンサーのもとで再建を図る場合などには100%減資という手段が採られることがあるという。

まずは会社が既存の株主から0円で株式を引き取って既存株主を全て排除。その後スポンサーの出資に対して、新たに株式を発行したり、引き取った株式を交付したりすることで、スポンサーが株主となって再建を図る。引き取った株式を全て消却する場合には、一時的に資本金が0円の状態が発生するので、100%減資と呼ばれるといい、2015年にはスカイマークが実施している。

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