「将来お金に強い子」に育つ! マネーのプロが、10歳に「毎週1000円」のお小遣いを勧める理由

「お小遣いは家庭でできる最高の金融教育」と語るプロ・にぐ先生が提案するのは、なんと「10歳に毎週1000円」を渡す制度。その意外な仕掛けと正しい親の見守り方を伺いました。(画像出典:PIXTA)

お小遣い制度は親子の貴重なコミュニケーションの場(画像出典:PIXTA)
お小遣い制度は親子の貴重なコミュニケーションの場(画像出典:PIXTA)
少ないお小遣いは、お金の管理が身に付くどころか、子どもに使い切る癖をつけ、将来の浪費癖につながってしまう——。小中学生向けに金融教育事業を展開する「にぐ先生」こと谷口達也さんは、そう警鐘を鳴らします。

では、家庭で正しくお金の管理能力を育てるには、具体的にどれくらいのお小遣いをどう渡せばいいのでしょうか。

にぐ先生は、著書『10歳の子どもには毎週1000円渡しなさい』(飛鳥新社)の中で、「毎週『子どもの年齢×100円(低学年の場合は年齢×50円)』を渡し、予算管理をさせる」お小遣い制度を提案しています。
 
「10歳に毎週1000円(月4000円)なんて多過ぎる!」と驚くかもしれませんが、実はここには大きな仕掛けがあります。にぐ先生にその具体的なやり方と、親の見守り方のコツを伺いました。

毎週1000円あげても「自由に使えるお金」はたった240円!?

にぐ先生が提案するのは、ただ遊ぶためのお金ではなく、文房具代や交通費など「本来なら親がその都度払っているお金(使い道が決まっているお金)」も含めてお小遣いとして渡す方法です。
 
具体的には、「年齢×100円/週(低学年は年齢×50円)」を基準とし、受け取ったその場で子ども自身に以下の5つの費目に振り分けさせます。

お小遣いの5つの振り分けルール

NEEDS(ニーズ)…文房具代や交通費など、必ず使うお金(約50%)
GIVE(ギブ)…寄付用。社会貢献の気持ちを育む(約1%)
SAVE(セーブ)…貯金
INVEST(インヴェスト)…投資
WANTS(ウォンツ)…子どもが自由に使えるお金(残りの額)

※SAVEとINVESTは、江戸末期から昭和中期にかけて活躍した学者・本多静六の考え方「月給4分の1天引き法」に基づき、トータルの25%を目安に残す。

「つまり、10歳の子に毎週1000円を渡しても、ニーズに500円、貯金・投資に250円、寄付に10円と分けるため、子どもが好きなことに使える『ウォンツ』は週240円(月1000円程度)にしかなりません。一見大きな金額に見えても、無駄遣いできる額は決して多くないんです」
 
親が管理していた予算の一部を渡すことで、子どもは「目標に向けてお金を貯める」「決められた予算内でやりくりする」という社会に出てから最も必要なスキルを身につけていきます。

思春期で会話が減っても「毎週お小遣い」なら話ができる

お小遣いを「月1回」ではなく「毎週」渡すことにも、重要な理由があります。それは「親子コミュニケーションの機会を増やすため」です。

お小遣いをあげるタイミングで、「前週のお金を何に使ったか」を親子で短時間振り返ります。月に1回だと年間12回しかありませんが、毎週なら年間約50回もの対話が生まれます。

「中学生くらいになると親と話したがらなくなりますが、お金の話だけは家族で話す時間が取れるという家庭がたくさんあります。お小遣いをきっかけにフランクにお金の話ができる関係を作っておくことは、将来のトラブル防止や信頼関係のバロメーターになるのです」

子どもの年齢が上がるにつれ、お金のトラブルは増えていきます。トラブルに巻き込まれた時に子どもがいつでも相談できるよう、フランクに話せる環境づくりをしておきたいもの。

また、日本は親子でもお金の話を避けがちですが、結婚や介護、葬式など人生の節目では、どうしても対話する必要が出てきます。

「早めに耐性をつけたほうが得だと思います」

親が「口出し」をやめると子どもはマネーリテラシーを伸ばす

親子で振り返りをする際、親が最も注意しなければならないのが「使い道に口出しをしないこと」だと、にぐ先生はくぎを刺します。

「親が『なんでそんな無駄なものを買ったの!』と口うるさく言うと、子どもはお金の話をしてくれなくなり、最悪の場合はうそをつくようになります。たとえ失敗したとしても、子どもに渡した狭い予算内でのこと。『社会に出る前の予行練習』と割り切って見守ることが大切です」

それでも「どう見ても無駄遣い……」とイラッとしてしまった時は、どうすればいいのでしょうか。
 
「買った直後に怒るのではなく、時間軸を変えて話し合うのがコツです。例えば年末などに1年間を一緒に振り返ってみる。すると、子ども自身が『これ、買わなきゃよかったな』と自分で気付く瞬間が訪れます」

「自ら工夫する子」に育つ家庭のお金教育

このお小遣い制度を始めた家庭では、自発的に貯金をして投資に興味を持ったり、交通費を節約するために徒歩で移動して浮いたお金を自分のお小遣いに回すような「工夫」を始める子も出てくるそうです。

「交通費は、NEEDSのお金です。それを自分のお小遣いにするのは、例えるなら、会社で経費として申告したのに、実際は懐に入れていたのと同じ状況。使用目的が変わってしまった場合は、家族で話し合い、領収書を共有するなどの対策を考えましょう。

学校では勉強を教えてくれますが、日常の中で実際にお金を使う『実践の場』を提供できるのは家庭しかありません。親も教育者の視点を持って伴走し、子どもの一生の武器になるマネーリテラシーを育んであげてほしいですね」
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にぐ先生(谷口達也) プロフィール
「なにも売らないFP」。1985年、岐阜県生まれ。株式会社マネーシフト代表取締役。大手証券会社を2社経て独立後、現在のFP法人を設立。小中学生向けの金融教育事業「おやこde資産形成アカデミー」を展開。教育委員会から後援を受け、オンライン授業を開催することも。受講者は、のべ1万3000人(2024.12)。YouTubeチャンネルの登録者は10万人。
結井 ゆき江
この記事の執筆者: 結井 ゆき江
フリーランス編集・ライター
フリーランスの編集者・ライター。中学受験雑誌の編集者として勤務した後に独立。小学校で発達障害グレーゾーンの児童をサポートした経験から、教育分野を中心にライターとして活動する。 ...続きを読む
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