池脇千鶴にも絶賛の声。高橋一生が“結婚していた”ことから始まる映画『ラプソディ・ラプソディ』の魅力

劇場公開中の『ラプソディ・ラプソディ』は高橋一生の「絶対に怒らない男」と呉城久美の「触れるもの全て壊してしまう女」のみならず、同僚役の池脇千鶴の演技も大きな見どころでした。(画像出典:(C) 2026 利重 剛)

自分に自信のない同僚役の池脇千鶴に絶賛の嵐

さらなる魅力が、幹夫の職場の同僚・毒島りずむを演じた池脇千鶴です。彼女が出演する本編映像は100万回近い再生回数を記録しており、「前からだったけど、ほんとすごい女優さんですよね」「うますぎてびっくり仰天」「今の池脇千鶴は磨きがかかってすごすぎる」など絶賛のコメントが多数寄せられているのです。
池脇千鶴は2003年の『ジョゼと虎と魚たち』での傍若無人な女性の役の印象も強いですが、今回はそちらとは正反対の、本当に自分に自信のない中年女性そのものに見えます。毒島りずむという名前にも強いコンプレックスを持っていると想像できますし、「急激な感情の変化」は見たら忘れられないほどのインパクトがあり、好きにならざるを得ないのです。

彼女がこの本編映像のように泣くだけでなく、幹夫に毅然とした態度で、とあるアドバイスをする(というか叱る?)のは、本作屈指の名場面でした。

まとめ:『ラプソディ・ラプソディ』のタイトルの意味は?

そうした悲喜こもごもな事態を経て、本作では「誰かと関わって、しんどい経験して、いろんな感情を抱いたことも、良いことなのかもよ?」というような、普遍的で本質をついたメッセージを掲げています。それは日常的に孤独を感じている人には誰かとの関わり合いのヒントになりますし、あるいは「今の自分」を肯定するきっかけにもなるかもしれません。
ラプソディ
(C) 2026 利重 剛
ちなみに、本作の初期のタイトルはジョージ・ガーシュウィンの名曲『ラプソディ・イン・ブルー』だったのだとか。監督であり主人公の叔父として出演している利重剛によると、その時には「ラプソディは狂詩曲、しかも自由な楽曲形式だから、けっこう合うんじゃないか」と仮でつけていたそうですが、最終的には「単語を重ねたかわいらしい響きと、基本は2人の話」ということで『ラプソディ・ラプソディ』というタイトルにしたのだそうです。

その言葉通り、本作は「誰かとの関係はラプソディのように自由でもいいかも」と肯定しているような作品でもありました。「いつの間にか知らない女性に籍を入れられていた」というとんでもない関係の始まりから、そのような気づきに行き着くのですから、「そりゃあ自由でもいいよなあ」という説得力が抜群と言えるでしょう。
ラプソディ
(C) 2026 利重 剛
また、利重剛監督は「映画館を出た後もまだ映画が続いているように感じる映画が大好きです」と前置きをしながら、「街を眺めながら、あの主人公たちはその後どうしてるかなと想像してもらえるような作品を目指して作りました。『そう、たまにはこんな感じのものを見たかったんだよ』と言ってもらえるような作品になっていればうれしいです」と語っています。

最初に掲げた通り、本作は大きな作品ではありませんが、登場人物が本当にこの世に生きているような実在感があり、その後の人生を「元気かなあ」と想像したくなる作品でもありました。見て良かったと思っていただけることを、筆者も期待しています
ヒナタカ
この記事の執筆者: ヒナタカ
映画 ガイド
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「マグミクス」「NiEW(ニュー)」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。 ...続きを読む
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