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難関大が仕掛ける「高偏差値」維持のカラクリ
近年では日本大学や東海大学、帝京大学といった大学も軒並み難易度を高めています。しかしその一方で、これらの大学の一般選抜率は3割程度まで下がっています。例えば、日本大学の法学部は定員が約500名と非常に大きな規模を誇ります。これほど大規模な学部の定員を全て一般選抜で埋めようとすると、合格者を大量に出さざるを得ず、結果として合格ラインが下がり、入学者間に極端な学力差が生じてしまいます。
それならば、一般選抜の枠をあえて狭めて高倍率・高偏差値を維持し、残りの枠を内部推薦や指定校推薦で固めた方が、大学側は「一定以上の学力と学習習慣」を持った学生を選抜しやすくなるのです。
実際に日本大学の付属校では「基礎学力到達度テスト(統一テスト)」が実施されており、その点数によって志望学部への進学が決まる仕組みになっています。大手塾がこの統一テストの対策講座を設置するほど、内部進学にはシビアな学力評価が伴います。
こうした「一般選抜よりも推薦枠を増やした方が優秀な層を確保しやすい」という流れは、日本大学よりさらに難易度が高い大学において、より顕著に広がっていくわけです。
「総合型で一発逆転」のウソ。教育業者のセールストークに隠された現実
少子化の影響で一般選抜が機能しなくなり、推薦や総合型選抜が拡大していく。この流れは、実は10年以上前から予測されていたことです。その中で、そこに“利権”を見いだした教育業者たちが、「これからは推薦・総合型入試が主流になる。勉強が苦手でも活動実績があれば早慶・MARCHに行ける」といったセールストークを盛んに繰り広げるようになりました。
そのセールストークを信じた企業が富裕層向けに探究学習を売りにした学校を作ったり、偏差値低迷に悩む中堅校が「総合型選抜特化クラス」を設置したりしてきました。
しかし、現実は異なります。少なくとも、知名度のある首都圏の私立大学で実際に枠が拡大したのは、一部の「一芸入試」的な総合型選抜ではなく、高校時代の成績を重視する「指定校推薦」や、系列校からの「内部推薦」だったのです。
2025年度の入試統計を見ても、総合型選抜の割合は約19.5%にとどまる一方、学校推薦型選抜は34.1%に達しています。この学校推薦型選抜のほとんどが指定校推薦と内部推薦です。
では、なぜ「総合型選抜」は期待ほど増えず、結局は「系列校」や「指定校」が重視されることになったのでしょうか。後編ではその構造的な理由について解説します。
この記事の執筆者:
杉浦 由美子
ノンフィクションライター
キャリア20年の記者。『女子校力』(PHP新書)、『中学受験 やってはいけない塾選び』(青春出版社)など単著は14冊。『ダイヤモンド教育ラボ』、『ハナソネ』(毎日新聞社)『マネーポストWEB』(小学館)などで取材記事を寄稿している。趣味は取材。
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