パートナーの転勤…“退職”してついていくべき? 自身のキャリアと家庭のために「知っておきたい選択肢」とは

女性のキャリアについての気になる悩みや疑問に、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』編集長の小林佳代子が回答します。今回は「パートナーの転勤とキャリアの両立」についてお話しします。

パートナーの転勤が決まりました。仕事を辞めてついていくべきか迷っています…。
パートナーの転勤が決まりました。仕事を辞めてついていくべきか迷っています……。
女性のキャリアについての気になる悩みや疑問に、正社員で長く働きたい女性のための転職サイト『女の転職type』編集長の小林佳代子が回答します。今回は「パートナーの転勤とキャリアの両立」についてお話しします。
 

(質問)
パートナーの転勤が決まりました。仕事を辞めてついていくべきか迷っています……。

 

(回答)
パートナーを支えたいという気持ちは自然なものですが、一度キャリアをストップさせると、再就職の難しさや地方での求人状況など、現実的な壁にぶつかることも少なくありません。今の仕事を続ける方法や、転勤先での新しいキャリアの作り方など、さまざまな選択肢を検討してみませんか。


以下で詳しくお話しします。

女性が「自分以外の都合」で退職を選ぶ背景

パートナーの転勤を理由に、それまで築いてきたキャリアを1度区切って退職を選ぶケースは、女性の社会進出が進んだ今でも決して珍しくありません。特に女性のキャリアにおいては、こうした傾向がはっきりと表れています。

「女の転職type」を運営している株式会社キャリアデザインセンターが行った調査によると、女性が「自分以外の都合」で仕事を辞める理由として、最も多いのが「パートナーの転勤」であり、次に「介護」「育児」と続いています。このように多くの女性が、パートナーや家庭の事情に合わせて自分自身のキャリアを調整している実態が見えてきます。

引っ越し先での「再就職」という厳しい現実

ここで1度立ち止まって考えていただきたいのは、引っ越し先での再就職の厳しさです。特に首都圏から地方へ移る場合、求人の数は少なくなり、選べる企業も限られる場合があります。看護師などの専門的な国家資格を持っていない限り、正社員としての再就職は想像以上に時間がかかるケースが多いのが現実です。

もし、特に目的を持たずに仕事をしていない期間(ブランク)を作ってしまうと、年齢を重ねるごとに再就職のハードルは上がっていきます。安易に「向こうへ行ってから考えよう」と決断するのではなく、引っ越し先にどのような仕事があるのか、今の経験がどう生かせるのかを事前に調べておくことが、将来の自分を守ることにつながります。

パートナーに同行しながら、キャリアを継続するための選択肢

パートナーについていくと決めた場合でも、キャリアを諦める必要はありません。近年、柔軟な働き方を選ぶことで、変化を乗り越えた方の事例もあります。

・事例1:海外転勤を「スキルアップ」の期間に
銀行の窓口業務をしていたある女性は、パートナーの海外転勤を機に退職しましたが、現地での2年間を単なるブランクにはしませんでした。海外にいながら発信できるSNS運用のスキルを独学で身につけ、個人で仕事を受ける経験を積んだのです。帰国後、その実績が評価され、29歳でSNS運用のサポート職として新しいキャリアをスタートさせました。

・事例2:全国に拠点がある会社へ「戦略的転職」
メーカーの営業職だった方が、転勤族のパートナーとの結婚を見据えて、全国に拠点を持つ大手生命保険会社へ転職した事例もあります。もちろん、異動先に空きがなければ転勤できないリスクもありましたが、彼女は「どこでも通用する人材」になるべく努力を重ねました。結果として、2度の転勤の際にも近くの拠点への異動がかない、仕事を辞めることなく継続できています。

これらは決して簡単な道ではありませんが、自ら動くことで退職以外の道を切り開いたよい例と言えるでしょう。

「退職が唯一の答え」という思い込みを疑ってみる

かつては「夫の転勤には妻がついていくもの」という考え方が一般的でしたが、今の時代、その「当たり前」を1度疑ってみてもいいのかもしれません。現在はリモートワークが広まり、場所を選ばずに働ける環境を整えている企業も増えています。まずは今の会社に、引っ越し先でも仕事を続けられないか相談してみる価値は十分にあります。

あるいは、一定期間の「別居婚」という選択肢も1つの形かもしれません。共働きとして家計の基盤を維持しつつ、それぞれが自分のキャリアを磨き、仕事での成長ややりがいを大切にする。そうした自立した関係を築くことで、将来どちらかに転勤の話が出た際にも、一方が犠牲になるのではなく、対等な立場でベストな選択を話し合えるようになります。

心にとどめておいてほしいのは、あなたが一方的にキャリアを諦めることだけが正解ではないということです。あなたの成長や仕事への情熱も、パートナーとの生活と同じくらい、かけがえのないものです。

未来のためにパートナーと今、話し合うべきこと

これからの長い人生を共にする2人にとって、この転勤は「キャリアとパートナーシップ」について深く語り合う絶好の機会でもあります。どちらかが我慢を重ねる関係は、長く続けるのが難しいものです。

再就職の厳しさという現実も踏まえた上で、2人の価値観をじっくりすり合わせてみてください。それでも一緒にいたいのか、あるいは互いのキャリアを尊重するために今の場所で働き続けるのか。2人が納得できる答えを導き出すにあたり、視点を変えて「もし私(女性側)に転勤が発生したとしたら、どうする?」という逆の立場を2人で想像してみるのも有効です。相手の立場に立って考えてみることで、改めて互いの大切にしたい価値観や、キャリアへの優先順位を冷静に整理できるでしょう。

将来的には、女性側に転勤の機会が訪れることもあるかもしれません。その時に「あの時私が譲ったのだから」と責め合うのではなく、「あの時2人で最善を選んだね」と笑い合える決断をしていただきたいと願っています。あなたがあなた自身の人生の主役であることを忘れずに、前向きな1歩を踏み出せるよう応援しています。
小林 佳代子
この記事の執筆者: 小林 佳代子
『女の転職type』編集長
新卒で(株)キャリアデザインセンター入社。転職情報誌及び転職サイト『type』『女の転職type』で、1000社以上の求人広告制作に携わる。2018年『女の転職type』編集長に就任。プライベートでは2児の子育て中。   女の転職type■https://woman-type.jp/   type■https://type.jp/ ...続きを読む
>プロフィール詳細
Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • どうする学校?どうなの保護者?

    「まだ体育館で軟禁されてるの?」役員決めを廃止したPTA、保護者と先生が手にした“穏やかな春”

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』4DXレビュー!事前に知っておきたいことは?

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    江ノ電20年ぶり新車、謎の「1人掛け席」の正体は? 観光サービスではなく「混雑地獄」に挑む苦肉の策

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    「移民」に冷たいのはどっちなのか? スイスの厳格過ぎる学歴選別と、日本の曖昧過ぎる外国人政策