「愛子さまを天皇に」という議論の盲点。皇室典範を“いびつ”と断じる現代人の「生者の傲慢」とは

世論調査では女性天皇を認める意見が多数を占めるとされ、「愛子さまを次の天皇に」という声も聞かれます。しかし、それは本当に「国民の総意」と言えるのでしょうか? 女性天皇を巡る世論と議論について紹介します。(画像:ロイター/アフロ)

女性天皇は本当に「国民の総意」と言えるのか

憲法では、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とされています。

「愛子天皇」を待望する人たちは世論調査の結果をもとに、国民の9割が女性天皇を認めることに賛同している。9割が賛同しているから、これは国民の総意と言ってもよい。だから、愛子さまが天皇になることを国民は望んでいるという論を展開しています。

根拠としているのは、2024年(令和6年)4月28日に共同通信社が公表した調査結果です。

その調査では「あなたは女性皇族も皇位を継ぐ女性天皇を認めることに賛成ですか、反対ですか」という質問に対して、「賛成」が52%、「どちらかといえば賛成」が38%、合計90%という数字が公表されています。(ちなみに、「どちらかといえば反対」は6%、「反対」は3%でした。)

これを見る限り、90%が賛成というのはきわめて高い数字です。しかし、きわめて高い数字だからと言って、それが日本国憲法がうたっている「国民の総意」と言えるのでしょうか。

また調査では「女性天皇」としか問うておらず、「愛子天皇」とは言っていません。それなのに国民の9割が女性天皇に賛同している、だから愛子さまが天皇になることを国民が望んでいる、と随分飛躍させています。

世論調査だけで皇室制度は決められるのか

皇學館大學教授の新田均先生は、日本国憲法における「国民の総意」とは、「いくつもの時代を経て受け継がれてきた伝統から推察される先人たちの意思と、それに対する憲法制定当時の国民の同意が合体したもの」と指摘しています。

つまり、単に「憲法が制定された時代に生きていた人たちの多くの意見」という意味ではないのです。

さらに新田先生は「単にたまたま今生きて動いているというだけで、今の人間が投票権を独占するなどということは、生者の傲慢な寡頭政治以外の何物でもない。伝統はこれに屈することを許さない」という、イギリスの作家チェスタトンの『正統とは何か』の一節を紹介しています。

世論調査で9割の人が女性天皇を認めることに賛意を示したとはいっても、それは「今たまたま生きている人の意見」にすぎず、とうてい日本の歴史や文化、伝統を熟慮しての「総意」とは言えません。

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1500年の歴史に終止符を打つことの重み
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