「愛子さまを天皇に」という議論の盲点。皇室典範を“いびつ”と断じる現代人の「生者の傲慢」とは

世論調査では女性天皇を認める意見が多数を占めるとされ、「愛子さまを次の天皇に」という声も聞かれます。しかし、それは本当に「国民の総意」と言えるのでしょうか? 女性天皇を巡る世論と議論について紹介します。(画像:ロイター/アフロ)

ロイター/アフロ
皇居での一般参賀にて、天皇陛下の66歳の誕生日を祝われる愛子内親王殿下(画像:ロイター/アフロ)

世論調査では女性天皇に賛成する意見が多数を占めるとされています。その結果をもとに「愛子さまを天皇に」という声も聞かれるようになりました。

しかし、それは本当に日本国憲法がいう「国民の総意」と言えるのでしょうか。女性天皇を巡る是非には、皇室の長い歴史や伝統の問題も関わっています。

本記事では『皇室論 なぜ天皇は男系でなければならないのか』(竹内久美子・著/方丈社)より一部を抜粋・編集し、女性天皇を巡る世論と議論について紹介します。

「男性しか天皇になれないルール」は本当にいびつなのか

皇室典範は、日本国憲法に付属する法典の一つです。皇位継承について、憲法では「世襲制」を規定しています。

この世襲というのは、本当は男子による世襲のみを意味するのですが、現代の人々には男とも女とも規定していないではないかと解釈されてしまうため、具体的なことは皇室典範に定められています。

その皇室典範の第1条には「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。」と記されています。

「愛子天皇」を待望する人たちはその論拠の1つを、「男性しか天皇になれないルールはいびつ」だとしていますが、「皇統に属する男系の男子が皇位を継承する」と法律で定められているのですから、彼らは「法律がいびつだ」と言っているのと同じことになります。

「愛子さまを天皇に」という議論は妥当なのか

現行の法律をどのように評価するかは個人の自由です。ですから、私は皇室典範を「いびつ」と評価する人たちを責める気は毛頭ありません。

しかし、法律がいびつだからと言って、即「愛子さまを天皇に」というのは、皇室の伝統や歴史をまったく考慮していない、あまりにも飛躍した話と言わざるを得ません。

日本は実在が確実な天皇である第26代継体天皇から数えても1500年以上の長い皇統の歴史を持つ国です。この事実を一顧だにせず皇室の在り方を議論するのは、皇室の方々に対して失礼きわまりないことです。

日本は法治国家です。法律が時代の変化とともに実情に合わなくなり、それを改正するにしても、法律にしたがって行うのがルールです。

皇室典範はいびつ、だから「愛子天皇」というのは、ルールと理屈と歴史を無視した馬鹿げた話、現代人による傲慢な話というよりないのです。

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女性天皇は本当に「国民の総意」と言えるのか
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